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June 20, 2013 Vol. 368 No. 25

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小児睡眠時無呼吸に対するアデノイド・口蓋扁桃摘出術の無作為化試験
A Randomized Trial of Adenotonsillectomy for Childhood Sleep Apnea

C.L. Marcus and Others

背景

アデノイド・口蓋扁桃摘出術は閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する小児に多く施行されているが,症状の軽減,および認知,行動,QOL,ポリソムノグラフィー所見の改善に有用かどうかは,厳密には検討されていない.われわれは,閉塞性睡眠時無呼吸症候群で,長時間にわたる低酸素血症はみられない小児において,早期のアデノイド・口蓋扁桃摘出術により,対症療法を行う経過観察と比較して,転帰が改善するという仮説を立てた.

方 法

閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する 5~9 歳の小児 464 例を,早期にアデノイド・口蓋扁桃摘出術を行う群と,経過観察を行う群に無作為に割り付けた.ベースラインと 7 ヵ月の時点で,ポリソムノグラフィー,認知,行動,健康転帰を評価した.

結 果

主要転帰とした発達神経心理学評価(スコアは 50~150 で,高いほど機能が良好であることを示す)の注意・実行機能スコアは,ベースラインの平均値は母平均の 100 に近く,ベースラインから追跡評価時までの変化には群間で有意差は認められなかった(平均 [±SD] 改善は,早期アデノイド・口蓋扁桃摘出術群 7.1±13.9,経過観察群 5.1±13.4;P=0.16).一方,行動,QOL,ポリソムノグラフィー所見の改善は,早期アデノイド・口蓋扁桃摘出術群のほうが経過観察群よりも有意に大きく,症状の軽減も有意に大きかった.ポリソムノグラフィー所見の正常化が認められた児の割合は,早期アデノイド・口蓋扁桃摘出術群のほうが経過観察群よりも高かった(79% 対 46%).

結 論

学齢期の小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する手術的治療は,経過観察と比較して,神経心理学検査で評価した注意・実行機能を有意には改善しなかったが,症状は軽減され,副次的転帰とした行動,QOL,ポリソムノグラフィー所見が改善したことから,早期アデノイド・口蓋扁桃摘出術の有益な効果を示すエビデンスが得られた.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.CHAT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00560859)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 2366 - 76. )