The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 24, 2013 Vol. 368 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

血液透析を受けている貧血患者に対するペギネサチド
Peginesatide in Patients with Anemia Undergoing Hemodialysis

S. Fishbane and Others

背景

合成ペプチドベースの赤血球造血刺激因子製剤(ESA)であるペギネサチド(peginesatide)は,進行した慢性腎臓病患者における貧血の治療法の一つとなる可能性がある.

方 法

血液透析を受けている患者を対象に,2 つの無作為化対照非盲検試験(EMERALD 1,EMERALD 2)を行った.これら 2 つの EMERALD 試験と,透析を受けていない患者を対象とした 2 つの試験からプールしたデータを用いて,独立したイベント再検討委員会に判定された複合安全性エンドポイントを解析し,心血管安全性を評価した.複合安全性エンドポイントは,全死因死亡,脳卒中,心筋梗塞,またはうっ血性心不全・不安定狭心症・不整脈のいずれかの重篤な有害事象とした.EMERALD 試験では,1,608 例を,ペギネサチドを月 1 回投与する群と,エポエチンを週 1~3 回継続投与する群に割り付け,ヘモグロビン値 10.0~12.0 g/dL が 52 週以上維持されるように,必要に応じて用量を調節した.主要有効性エンドポイントは,ベースラインのヘモグロビン値から評価期間中の平均ヘモグロビン値までの平均変化量とした.ペギネサチドのエポエチンとの比較において両側 95%信頼区間の下限が -1.0 g/dL 以上の場合に非劣性が検証された.プールしたコホートにおいて複合安全性エンドポイントを評価する目的は,ペギネサチドの対照 ESA に対するハザード比が 1.3 を超えないようにするためであった.

結 果

EMERALD 1 の 693 例と EMERALD 2 の 725 例を対象とした解析では,ヘモグロビン値の維持に関して,ペギネサチドはエポエチンに対して非劣性であった(EMERALD 1 の平均群間差 -0.15 g/dL,95%信頼区間 [CI] -0.30~-0.01;EMERALD 2 の平均群間差 0.10 g/dL,95% CI -0.05~0.26).複合安全性エンドポイントに関するペギネサチドの対照 ESA に対するハザード比は,プールした 4 試験(2,591 例)では 1.06(95% CI 0.89~1.26),2 つの EMERALD 試験では 0.95(95% CI 0.77~1.17)であった.有害事象,重篤な有害事象が発現した患者の割合は,EMERALD 試験の各治療群で同程度であった.プールしたコホートにおいて,ペギネサチドの心血管安全性は対照 ESA と同程度であった.

結 論

血液透析を受けている患者におけるヘモグロビン値の維持に関して,月 1 回のペギネサチド投与は週 1~3 回のエポエチン投与と同程度に有効であった.(Affymax 社,Takeda Pharmaceutical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00597753 [EMERALD 1],NCT00597584 [EMERALD 2],NCT00598273 [PEARL 1],NCT00598442 [PEARL 2])

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 307 - 19. )