January 24, 2013 Vol. 368 No. 4
透析を受けていない慢性腎臓病患者の貧血に対するペギネサチド
Peginesatide for Anemia in Patients with Chronic Kidney Disease Not Receiving Dialysis
I.C. Macdougall and Others
ペギネサチド(peginesatide)は,進行した慢性腎臓病患者における貧血の治療法として可能性のある,ペプチドベースの赤血球造血刺激因子製剤(ESA)である.透析を受けていない進行慢性腎臓病患者 983 例を対象に,ペギネサチドの安全性と有効性を,別の ESA であるダルベポエチンと比較評価した.
2 つの無作為化対照非盲検試験(PEARL 1,PEARL 2)において,患者を,ペギネサチドを月 1 回,開始用量 0.025 mg/kg 体重または 0.04 mg/kg 体重で投与する群と,ダルベポエチンを 2 週間に 1 回,開始用量 0.75 μg/kg で投与する群に割り付けた.ヘモグロビン値 11.0~12.0 g/dL が 52 週以上達成・維持されるように,両剤の用量を調節した.主要有効性エンドポイントは,ベースラインのヘモグロビン値から評価期間中の平均ヘモグロビン値までの平均変化量とした.両側 97.5%信頼区間の下限が -1.0 g/dL 以上の場合に非劣性が検証された.独立したイベント再検討委員会に判定された複合エンドポイントに基づき,心血管安全性を評価した.
両試験において,ペギネサチドはいずれの開始用量でも,ヘモグロビン値の上昇と維持に関して,ダルベポエチンに対して非劣性であった.ペギネサチド群のヘモグロビン値の,ダルベポエチン群との差の平均は,PEARL 1 では,ペギネサチドの開始用量が低い群で 0.03 g/dL(97.5%信頼区間 [CI] -0.19~0.26),開始用量が高い群で 0.26 g/dL(97.5% CI 0.04~0.48),PEARL 2 ではそれぞれ 0.14 g/dL(97.5% CI -0.09~0.36),0.31 g/dL(97.5% CI 0.08~0.54)であった.心血管安全性エンドポイントに関する,ペギネサチドのダルベポエチンに対するハザード比は 1.32(95% CI 0.97~1.81)であり,死亡,不安定狭心症,不整脈の発生率はペギネサチド群のほうが高かった.
ヘモグロビン値の上昇と維持におけるペギネサチド(月 1 回投与)の有効性は,ダルベポエチン(2 週間に 1 回投与)と同程度であった.しかし,透析を受けていない慢性腎臓病患者では,ペギネサチド投与により心血管イベントと死亡が増加した.(Affymax 社,Takeda Pharmaceutical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00598273 [PEARL 1],NCT00598442 [PEARL 2],NCT00597753 [EMERALD 1],NCT00597584 [EMERALD 2])