January 31, 2013 Vol. 368 No. 5
再発性 Clostridium difficile 感染に対するドナー便の十二指腸注入
Duodenal Infusion of Donor Feces for Recurrent Clostridium difficile
E. van Nood and Others
再発性 Clostridium difficile (C. difficile)感染は治療がむずかしく,抗菌薬療法の失敗率が高い.再発性 C. difficile 感染の患者において,ドナー便の十二指腸注入の効果を検討した.
患者を,次の 3 種類の治療法に無作為に割り付けた:最初にバンコマイシンレジメン(500 mg を 1 日 4 回,4 日間経口投与),続いて腸洗浄,その後経鼻十二指腸チューブを用いてドナー便の溶解液を注入;標準バンコマイシンレジメン(500 mg を 1 日 4 回,14 日間経口投与);標準バンコマイシンレジメンと腸洗浄の併用.主要エンドポイントは,10 週後に C. difficile 感染に関連する下痢が消失し,再発がないこととした.
試験は中間解析後に中止された.注入群では,16 例中 13 例(81%)で初回注入後に C. difficile 関連下痢症が消失した.残りの 3 例は別のドナーの便で 2 回目の注入を受け,2 例で消失した.C. difficile 感染の消失は,バンコマイシン単独群では 13 例中 4 例(31%),バンコマイシン+腸洗浄群では 13 例中 3 例(23%)で認められた(注入群との比較についていずれも P<0.001).有害事象は,注入群で注入日に軽度の下痢と腹部痙攣が認められたことを除き,3 群間で有意差は認められなかった.ドナー便の注入後,患者の便は細菌の多様性が増加して健常ドナーと同程度になり,バクテロイデス種とクロストリジウムクラスター IV,XIVa が増加し,プロテオバクテリア種が減少していた.
再発性 C. difficile 感染の治療において,ドナー便の注入は,バンコマイシンの使用よりも有効性が有意に高かった.(オランダ健康研究開発機構,オランダ科学研究機構から研究助成を受けた.Netherlands Trial Register 番号:NTR1177)