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February 7, 2013 Vol. 368 No. 6

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連日のクロルヘキシジン浴による院内感染への効果
Effect of Daily Chlorhexidine Bathing on Hospital-Acquired Infection

M.W. Climo and Others

背景

先行する単一施設観察研究では,クロルヘキシジンを用いた連日の入浴により,院内血流感染と多剤耐性菌(MDRO)の獲得が予防できる可能性が示されている.

方 法

クロルヘキシジン含浸タオルを用いた連日入浴が MDRO の獲得と院内血流感染の発生率にもたらす効果を検討する目的で,多施設共同クラスター無作為化非盲検クロスオーバー試験を行った.6 病院の集中治療室・骨髄移植病棟 9 ヵ所を,洗い流さない 2%クロルヘキシジン含浸タオルを用いる群と,抗菌薬を含まないタオルを用いる群に無作為に割り付け,6 ヵ月間清拭を行った.続く 6 ヵ月間は,使用するタオルを交換して行った.ポアソン回帰分析を用いて,MDRO 獲得の発生率と院内血流感染の発生率を 2 つの期間で比較した.

結 果

試験期間中 7,727 例を登録した.MDRO 獲得の全発生率は,クロルヘキシジン浴期間では 1,000 患者・日あたり 5.10 例であったのに対し,抗菌薬を含まないタオルを用いた期間では 1,000 患者・日あたり 6.60 例で(P=0.03),クロルヘキシジン浴のほうが発生率が 23%低かった.院内血流感染の全発生率は,クロルヘキシジン浴期間では 1,000 患者・日あたり 4.78 例であったのに対し,抗菌薬を含まないタオルを用いた期間では 1,000 患者・日あたり 6.60 例で(P=0.007),クロルヘキシジン浴のほうが発生率が 28%低かった.重篤な皮膚反応はいずれの期間にも認められなかった.

結 論

クロルヘキシジン含浸タオルを用いた連日入浴により,MDRO 獲得および院内血流感染の発生のリスクが有意に減少した.(米国疾病対策予防センター,Sage Products 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00502476)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 533 - 42. )