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February 28, 2013 Vol. 368 No. 9

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早期の急性呼吸促迫症候群に対する高頻度振動換気法
High-Frequency Oscillation in Early Acute Respiratory Distress Syndrome

N.D. Ferguson and Others

背景

先行研究では,高頻度振動換気法(HFOV)によって急性呼吸促迫症候群(ARDS)の成人の死亡率が低下することが示唆されているが,対照には旧式の換気法が用いられていたり,標本数が少ないという限界がある.

方 法

5 ヵ国 39 施設の集中治療室で,中等症~重症 ARDS を新たに発症した成人を対象に多施設共同無作為化対照試験を行った.患者を,肺リクルートメントを目標とする HFOV を行う群と,低容量換気と高呼気終末陽圧(PEEP)による肺リクルートメントを目標とする対照換気戦略を用いる群に無作為に割り付けた.主要転帰は,院内における全死因死亡率とした.

結 果

データモニタリング委員会の勧告により,予定登録患者数 1,200 例のうち 548 例が無作為化された時点で試験を中止した.2 つの試験群はベースラインの時点でよくマッチしていた.HFOV 群は HFOV を中央値で 3 日間(四分位範囲 2~8)受け,対照群では 273 例中 34 例(12%)が難治性低酸素血症に対して HFOV を受けた.院内死亡率は,HFOV 群では 47%であったのに対し,対照群では 35%であった(HFOV による死亡の相対リスク 1.33,95%信頼区間 1.09~1.64,P=0.005).この結果は,ベースラインの酸素化障害や肺コンプライアンスの低下とは独立していた.HFOV 群では,対照群よりもミダゾラムの投与量が多く(199 mg/日 [四分位範囲 100~382] 対 141 mg/日 [四分位範囲 68~240],P<0.001),神経筋遮断薬を投与された患者が多かった(83% 対 68%,P<0.001).さらに,HFOV 群では対照群よりも血管作動薬を投与された患者が多く(91% 対 84%,P=0.01),投与期間が長かった(5 日 対 3 日,P=0.01).

結 論

中等症~重症 ARDS の成人に HFOV を早期に用いても,低容量換気と高い PEEP による換気戦略と比較して,院内死亡率は低下することなく,むしろ上昇させる可能性がある.(カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN42992782 および ISRCTN87124254,ClinicalTrials.gov 番号:NCT00474656 および NCT01506401)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 795 - 805. )