September 19, 2013 Vol. 369 No. 12
大腸癌スクリーニング後の長期死亡率
Long-Term Mortality after Screening for Colorectal Cancer
A. Shaukat and Others
無作為化試験において,便潜血検査により大腸癌死亡率が低下することが示されている.しかし,その有益性が持続する期間や,年齢や性別によりその効果が異なるかどうかは明らかになっていない.
ミネソタ結腸癌対策試験(Minnesota Colon Cancer Control Study)において,50~80 歳の参加者 46,551 例を,通常のケアを行う群(対照群)と,年 1 回または 2 年に 1 回便潜血検査によるスクリーニングを行う群に無作為に割り付けた.スクリーニングは 1976~82 年と 1986~92 年の期間に実施した.全米死亡記録(National Death Index)を用いて参加者の生存状況に関する最新情報を入手し,2008 年までの死因を明らかにした.
30 年の追跡調査期間中に,33,020 例(70.9%)が死亡した.大腸癌が死因であったのは 732 例で,内訳は,年 1 回スクリーニングを行った群 11,072 例中 200 例(1.8%),2 年に 1 回スクリーニングを行った群 11,004 例中 237 例(2.2%),対照群 10,944 例中 295 例(2.7%)であった.30 年の追跡調査期間中に,スクリーニングにより大腸癌死亡率が低下した(年 1 回のスクリーニングの相対リスク 0.68,95%信頼区間 [CI] 0.56~0.82;2 年に 1 回のスクリーニングの相対リスク 0.78,95% CI 0.65~0.93).全死因死亡率の低下は認められなかった(年 1 回のスクリーニングの相対リスク 1.00,95% CI 0.99~1.01;2 年に 1 回のスクリーニングの相対リスク 0.99,95% CI 0.98~1.01).2 年に 1 回スクリーニングを行った群における大腸癌死亡率の低下は,男性のほうが女性より大きかった(交互作用の P=0.04).
便潜血検査を用いたスクリーニングの大腸癌死亡率に対する有益性は 30 年後も持続するが,全死因死亡率には影響を与えない.大腸癌死亡率の持続的な低下により,ポリープ切除の有益性が支持される.(米国退役軍人局メリットレビューアワードプログラムほかから研究助成を受けた.)