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September 19, 2013 Vol. 369 No. 12

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心筋梗塞における予防的血管形成術の無作為化試験
Randomized Trial of Preventive Angioplasty in Myocardial Infarction

D.S. Wald and Others

背景

ST 上昇型急性心筋梗塞(STEMI)において,梗塞責任冠動脈に対して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行うと予後が改善する.一方,狭窄度の大きな非梗塞病変に対する PCI(予防的 PCI)の有効性は明らかになっていない.

方 法

2008~13 年に,英国の 5 施設で梗塞病変に PCI を施行する急性 STEMI 患者 465 例(左脚ブロック 3 例を含む)を登録し,予防的 PCI を施行する群(234 例)と施行しない群(231 例)に無作為に割り付けた.その後の狭心症に対する PCI は,虚血という他覚的根拠の認められる難治性狭心症にのみ推奨した.主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,難治性狭心症の複合とした.解析は intention-to-treat に基づいて行った.

結 果

データ安全性モニタリング委員会は,2013 年 1 月までに有意な結果から判断し,試験の早期中止を勧告した.平均追跡期間 23 ヵ月で,主要転帰が発生したのは予防的 PCI 施行群 21 例,非施行群(梗塞病変にのみ PCI を施行)53 例であり,患者 100 例あたりに換算するとそれぞれ 9 件,23 件であった(予防的 PCI 施行群のハザード比 0.35,95%信頼区間 [CI] 0.21~0.58,P<0.001).主要転帰 3 項目のハザード比は,心血管系の原因による死亡 0.34(95% CI 0.11~1.08),非致死的心筋梗塞 0.32(95% CI 0.13~0.75),難治性狭心症 0.35(95% CI 0.18~0.69)であった.

結 論

STEMI と多枝冠動脈疾患を有し梗塞病変に PCI を施行する患者において,狭窄度の大きな非梗塞病変に対する予防的 PCI は,梗塞病変にのみ PCI を施行した場合と比較して,心血管系有害事象の発生リスクを有意に低下させた.(バーツ・アンド・ロンドン慈善基金から研究助成を受けた.PRAMI Current Controlled Trials 番号:ISRCTN73028481)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1115 - 23. )