October 17, 2013 Vol. 369 No. 16
急性心膜炎に対するコルヒチンの無作為化試験
A Randomized Trial of Colchicine for Acute Pericarditis
M. Imazio and Others
コルヒチンは再発性心膜炎の治療に有効である.しかし,急性心膜炎の初回発生時や再発症状の予防におけるコルヒチンの使用については,決定的なデータがない.
多施設共同二重盲検試験において,適格とした急性心膜炎成人患者を,アスピリンまたはイブプロフェンを用いた従来の抗炎症療法に加え,コルヒチン(3 ヵ月にわたり,体重 70 kg 超の患者には 0.5 mg を 1 日 2 回,70 kg 以下の患者には 0.5 mg を 1 日 1 回)を投与する群と,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は頻発性または再発性の心膜炎とした.
240 例を登録し,各群に 120 例を無作為に割り付けた.主要転帰はコルヒチン群 20 例(16.7%),プラセボ群 45 例(37.5%)に発生した(コルヒチン群の相対リスク低下 0.56,95%信頼区間 0.30~0.72,治療必要数(NNT)4,P<0.001).コルヒチンにより,72 時間の時点での症状持続率(19.2% 対 40.0%,P=0.001),患者あたりの再発回数(0.21 回 対 0.52 回,P=0.001),入院率(5.0% 対 14.2%,P=0.02)が低減した.また,コルヒチンにより 1 週の時点での寛解率も改善した(85.0% 対 58.3%,P<0.001).有害作用全般と試験薬投与中止の割合は 2 群間で同程度であった.重篤な有害事象は認められなかった.
急性心膜炎患者において,従来の抗炎症療法にコルヒチンを追加することにより,頻発性または再発性の心膜炎の発生率が有意に低下した.(旧トリノ第 3 地域保健公社 [現第 2 地域保健公社],Acarpia 社から研究助成を受けた.ICAP ClinicalTrials.gov 番号:NCT00128453)