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October 24, 2013 Vol. 369 No. 17

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汚染されたメチルプレドニゾロン注射に関連した真菌感染症
Fungal Infections Associated with Contaminated Methylprednisolone Injections

R.M. Smith and Others

背景

真菌感染症は,慢性疼痛の治療で行われる注射のまれな合併症である.2012 年 9 月に,単一の調剤薬局から購入された防腐剤無添加のメチルプレドニゾロン酢酸エステルの注射に関連する,真菌感染症の調査を開始した.

方 法

メチルプレドニゾロン酢酸エステルの 3 ロットが薬局により回収された.後に行われた未開封バイアルの調査により真菌が認められた.関連の示唆されるメチルプレドニゾロン酢酸エステルに曝露した可能性があるすべての人に対して,連邦政府,州,地域の公衆衛生当局,ならびにこの薬剤を投与した医療機関のスタッフが通知を行った.標準化された症例報告書の臨床データを収集し,培養検査と,ポリメラーゼ連鎖反応法,病理組織検査,免疫組織化学検査により,分離株および検体中の真菌の存在を調査した.

結 果

2012 年 10 月 19 日までに,曝露した可能性のある人 13,534 人の 99%以上と連絡が取れた.2013 年 7 月 1 日の時点で,20 州で報告された感染例は 749 例,死亡例は 61 例(8%)であった.臨床検査により,感染例 153 例(20%)の検体で Exserohilum rostratum の存在が確認された.追加データは 728 例(97%)から得られた.このうち 229 例(31%)は髄膜炎を有し,その他の感染症は認められなかった.感染例は,関連の示唆されるメチルプレドニゾロン酢酸エステルの注射を中央値で 1 回(1~6 回)受けていた.感染例の年齢の中央値は 64 歳(15~97 歳),潜伏期間(最後の注射から最初の診断日までの日数)の中央値は 47 日(0~249 回)であった.40 例(5%)は脳卒中を発症していた.

結 論

複数州にわたる大規模な真菌感染症の集団発生は,データ解析から罹患率と死亡率がかなり高いことが示された.感染症は,単一の調剤薬局に由来する,汚染されたグルココルチコイドの注射と関連していた.迅速な公衆衛生対策として,関連の示唆される製品の早急な回収,曝露した人への通知,医師への早期の働きかけなどが行われた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1598 - 609. )