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October 24, 2013 Vol. 369 No. 17

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泌尿器科医による前立腺癌に対する強度変調放射線治療の施行状況
Urologists' Use of Intensity-Modulated Radiation Therapy for Prostate Cancer

J.M. Mitchell

背景

泌尿器科グループのなかには,償還率の高い放射線治療である強度変調放射線治療(IMRT)を診療に組み込んでいるグループもある.これは,自己利益のための紹介(self-referral)が連邦政府に禁止されているなか,外来での施設内補助サービスは例外とされているために可能となっている.IMRT サービスの所有と,前立腺癌治療目的での IMRT 施行との関連を検討した.

方 法

2005~10 年のメディケア請求データを用いて,2 つの標本を構築した.1 つは,self-referral を行う開業の泌尿器科グループ 35 グループと,マッチさせた対照群として self-referral を行わない開業の泌尿器科グループ 35 グループを含む標本,もう 1 つは,全米総合がんネットワーク(NCCN)に加盟する 11 施設に勤務する,self-referral を行わない泌尿器科医を,self-referral を行う開業の泌尿器科グループ 11 グループとマッチさせた標本であった.self-referral の有無による IMRT 施行状況の変化を評価するため,所有前の期間と所有している期間とで IMRT 施行頻度を比較し,difference-in-difference 分析を行った.

結 果

self-referral を行う開業泌尿器科医による IMRT 施行率は,13.1%から 32.3%へと,19.2 パーセントポイント上昇した(P<0.001).self-referral を行わない泌尿器科医では,IMRT 施行率は 14.3%から 15.6%へ,1.3 パーセントポイント上昇した(P=0.05).未補正の difference-in-differences 効果は 17.9 パーセントポイントであった(P<0.001).回帰補正後の self-referral に関連した IMRT 施行率の上昇は,16.4 パーセントポイントであった(P<0.001).NCCN 施設に勤務する泌尿器科医による IMRT 施行率は 8.0%で安定していたが,マッチさせた self-referral を行う泌尿器科グループ 11 グループにおける施行率は,33.0 パーセントポイント上昇した.回帰補正後の difference-in-differences 効果は 29.3 パーセントポイントであった(P<0.001).

結 論

IMRT サービスの所有権を獲得した泌尿器科医では,IMRT の施行頻度が,そのようなサービスを所有しない泌尿器科医よりも大幅に増加した.泌尿器科医に IMRT の self-referral を認めていることが,この高額な治療の施行頻度増加の一因である可能性がある.(米国放射線腫瘍学会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1629 - 37. )