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November 21, 2013 Vol. 369 No. 21

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黒人アメリカ人と白人アメリカ人におけるビタミン D 結合蛋白とビタミン D の状態
Vitamin D–Binding Protein and Vitamin D Status of Black Americans and White Americans

C.E. Powe and Others

背景

黒人アメリカ人は一般的に総 25-ヒドロキシビタミン D 濃度が低い.ビタミン D 欠乏症の評価において,ビタミン D 結合蛋白は検討されてきていない.

方 法

黒人アメリカ人と白人アメリカ人から成る「多様な近隣地域住民における健康的老化に関する縦断的研究(HANDLS)」のコホート(2,085 例)において,総 25-ヒドロキシビタミン D,ビタミン D 結合蛋白,副甲状腺ホルモンの各濃度と骨密度(BMD)を測定した.ビタミン D 結合蛋白遺伝子の頻度の高い 2 種類の多型(rs7041 と rs4588)について,参加者の遺伝子型を決定した.ホモ接合型の参加者において,生体利用される 25-ヒドロキシビタミン D 濃度を評価した.

結 果

黒人アメリカ人は,白人アメリカ人と比較して総 25-ヒドロキシビタミン D とビタミン D 結合蛋白の両方の平均濃度(±SE)が低かった(総 25-ヒドロキシビタミン D 15.6±0.2 ng/mL 対 25.8±0.4 ng/mL,P<0.001;ビタミン D 結合蛋白 168±3 μg/mL 対 337±5 μg/mL,P<0.001).遺伝的多型が,ビタミン D 結合蛋白濃度における差の 79.4%,総 25-ヒドロキシビタミン D 濃度における差の 9.9%を独立に説明するものと考えられた.BMD は黒人アメリカ人のほうが白人アメリカ人よりも高かった(1.05±0.01 g/cm2 対 0.94±0.01 g/cm2,P<0.001).副甲状腺ホルモン濃度は,総 25-ヒドロキシビタミン D,または生体利用される 25-ヒドロキシビタミン D の減少に伴って上昇したが(両方の関係において P<0.001),副甲状腺ホルモン濃度のどの五分位群においても,黒人アメリカ人の総 25-ヒドロキシビタミン D 濃度は,依然として白人アメリカ人よりも有意に低かった.ホモ接合型の参加者における生体利用される 25-ヒドロキシビタミン D 濃度は,黒人アメリカ人と白人アメリカ人で,集団全体においても(2.9±0.1 ng/mL および 3.1±0.1 ng/mL,P=0.71),副甲状腺ホルモン濃度の各五分位群においても同等であった.

結 論

黒人アメリカ人は,同じ近隣地域に居住する白人アメリカ人と比較して,総 25-ヒドロキシビタミン D 濃度とビタミン D 結合蛋白濃度が低かったが,生体利用される 25-ヒドロキシビタミン D の推定濃度は同程度であった.今回の所見は,頻度の高い遺伝的多型の保有率の人種による違いで説明されるものと考えられる.(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1991 - 2000. )