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December 19, 2013 Vol. 369 No. 25

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妊娠中の選択的セロトニン再取込み阻害薬の使用と自閉症のリスク
Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors during Pregnancy and Risk of Autism

A. Hviid, M. Melbye, and B. Pasternak

背景

先行研究から,妊娠中の選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)の使用と,児の自閉症スペクトラム障害のリスク上昇との関連について,懸念が生じている.

方 法

1996~2005 年のデンマークにおけるすべての単胎生産(出生数 626,875 人)について,2009 年まで追跡するコホート研究を行った.デンマークの人口登録を用いて,妊娠前および妊娠中の母親の SSRI 使用,児で診断された自閉症スペクトラム障害,各種の可能性のある交絡因子に関する情報をリンクさせた.ポアソン回帰により,児の診断までの期間の生存分析を行い,母親の SSRI 使用に基づく自閉症スペクトラム障害の率比を推定した.

結 果

5,057,282 人年の追跡調査において,自閉症スペクトラム障害 3,892 症例が同定された(発生率 77.0/100,000 人年).妊娠中に SSRI に曝露された女性の児 42,400 人年の追跡調査では,自閉症スペクトラム障害 52 症例が同定された(発生率 122.6/100,000 人年).妊娠前,妊娠中のいずれも SSRI を使用しなかった場合と比較して,妊娠中の使用は,自閉症スペクトラム障害リスクの有意な上昇には関連しなかった(全変数で補正後の率比 1.20,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.61).妊娠前に SSRI を使用したが妊娠中は使用しなかった女性においては,全変数で補正後の率比は 1.46(95% CI 1.17~1.81)であった.

結 論

妊娠中の母親の SSRI 使用と児の自閉症スペクトラム障害とのあいだに,有意な関連は認められなかった.信頼区間の上限に基づき,今回の研究では最大 1.61 の相対リスクを排除できなかったため,この関連についてはさらなる研究が必要である.(デンマーク保健医薬品局から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 2406 - 15. )