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August 15, 2013 Vol. 369 No. 7

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本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術の予備的試験
A Pilot Study of Focused Ultrasound Thalamotomy for Essential Tremor

W.J. Elias and Others

背景

最近の進歩により,高密度集束超音波を,磁気共鳴画像法(MRI)ガイド下で,無傷のヒト頭蓋を通して照射することが可能になった.この予備的試験では,本態性振戦の治療として,経頭蓋 MRI ガイド下集束超音波視床破壊術を検討する.

方 法

2011 年 2 月~12 月に,非盲検非対照試験において,薬剤に反応しない重度の本態性振戦を有する患者 15 例の片側視床中間腹側核を標的として,経頭蓋 MRI ガイド下集束超音波を用いた.すべての安全性データを記録し,振戦の臨床評価尺度を用いて,総スコア(0~160 点),手のサブスコア(主要転帰,0~32 点),障害のサブスコア(0~32 点)を算出し,振戦抑制の効果を評価した.スコアは高いほど振戦が重度であることを示す.本態性振戦における QOL 質問票(0~100%,スコアが高いほど認識している障害が大きいことを示す)を用いて,治療の有効性に関する患者の認識を評価した.

結 果

全例で,視床の標的を熱焼灼しえた.この手技の有害作用として,感覚異常,小脳異常,運動異常,発話異常などが一過性に認められ,4 例では感覚異常が持続した.手の振戦のスコアは,ベースラインの 20.4 から 12 ヵ月の時点で 5.2 に改善した(P=0.001).振戦の総スコアは 54.9 から 24.3 に改善した(P=0.001).障害スコアは 18.2 から 2.8 に改善した(P=0.001).QOL スコアは 37%から 11%に改善した(P=0.001).

結 論

この予備的試験では,MRI ガイド下集束超音波視床破壊術を行った患者 15 例で本態性振戦が改善した.この手技の有効性と安全性を評価するには,大規模無作為化対照試験を行う必要がある.(集束超音波手術財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01304758)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 640 - 8. )