August 29, 2013 Vol. 369 No. 9
トランスサイレチンアミロイドーシスに対する RNAi 療法の安全性と有効性
Safety and Efficacy of RNAi Therapy for Transthyretin Amyloidosis
T. Coelho and Others
トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスは,肝細胞由来のトランスサイレチンアミロイドが,末梢神経や心臓に沈着して起こる.RNA 干渉(RNAi)を介した治療法によって,トランスサイレチンの産生を減少させる可能性がある.
強力な抗トランスサイレチン小分子干渉 RNA(siRNA)を同定し,それを封入した脂質ナノ粒子の第一世代製剤 ALN-TTR01 と,第二世代製剤 ALN-TTR02 を調製した.各製剤の安全性とトランスサイレチン量に対する有効性を評価するため,単回投与のプラセボ対照第 1 相試験を行った.最初にトランスサイレチンアミロイドーシス患者 32 例において ALN-TTR01(0.01~1.0 mg/kg 体重)を評価し,次に健常ボランティア 17 例において ALN-TTR02(0.01~0.5 mg/kg)を評価した.
2 つの試験において,トランスサイレチン量は迅速,濃度依存的,かつ持続的に減少した.ALN-TTR01 は,1.0 mg/kg の用量で,プラセボと比較してトランスサイレチンを抑制し,平均減少量は 7 日目の時点で 38%であった(P=0.01).トランスサイレチンの変異体も非変異体も同程度に減少した.ALN-TTR02 は,0.15~0.3 mg/kg の用量でトランスサイレチンの平均減少量は最下点で 82.3~86.8%であり,28 日目の時点でも 56.6~67.1%であった(すべての比較において P<0.001).これらの減少は RNAi を介していることが示された.ALN-TTR01 投与例の 20.8%と ALN-TTR02 投与例の 7.7%で,注入に伴う軽度~中等度の反応が認められた.
ALN-TTR01 と ALN-TTR02 によって,トランスサイレチンの変異体と非変異体の両方の産生が抑制された.これによって,疾患原因遺伝子から転写されるメッセンジャー RNA を標的にした RNAi 療法の概念が実証された.(Alnylam Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01148953,NCT01559077)