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January 2, 2014 Vol. 370 No. 1

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虚血性重症僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術と僧帽弁置換術との比較
Mitral-Valve Repair versus Replacement for Severe Ischemic Mitral Regurgitation

M.A. Acker and Others

背景

虚血性僧帽弁閉鎖不全症は,高い死亡リスクと関連している.治療ガイドラインは,重症例に対しては手術を推奨しているが,形成術と置換術のどちらかを支持するエビデンスは限られていることを認めている.

方 法

虚血性重症僧帽弁閉鎖不全症患者 251 例を,有効性と安全性を評価する目的で僧帽弁形成術または腱索温存僧帽弁置換術のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は,12 ヵ月の時点での左室収縮末期容積係数(LVESVI)とし,死亡をもっとも低い LVESVI の下に分類した Wilcoxon の順位和検定を用いて評価した.

結 果

12 ヵ月の時点で,生存患者における平均 LVESVI は,形成術群では 54.6±25.0 mL/m2 体表面積,置換術群では 60.7±31.5 mL/m2 であった(ベースラインからの変化の平均はそれぞれ -6.6 mL/m2,-6.8 mL/m2).死亡率は,形成術群 14.3%,置換術群 17.6% であった(形成術群のハザード比 0.79,95%信頼区間 0.42~1.47,log–rank 検定により P=0.45).死亡について補正すると,LVESVI に群間で有意差は認められなかった(z スコア 1.33,P=0.18).12 ヵ月の時点での中等症または重症の僧帽弁閉鎖不全症の再発率は,形成術群のほうが置換術群よりも高かった(32.6% 対 2.3%,P<0.001).12 ヵ月の時点での主要な心臓有害事象と脳血管有害事象の複合発生率,機能状態,QOL に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

僧帽弁形成術施行患者と僧帽弁置換術施行患者とのあいだで,12 ヵ月の時点での左室逆リモデリングおよび生存に有意差は認められなかった.置換術によって,僧帽弁閉鎖不全症のより持続的な改善がもたらされたが,臨床転帰には群間で有意差は認められなかった.(米国国立衛生研究所,カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00807040)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 23 - 32. )