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January 23, 2014 Vol. 370 No. 4

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結核対策のためのイソニアジドの集団予防投与試験
A Trial of Mass Isoniazid Preventive Therapy for Tuberculosis Control

G.J. Churchyard and Others

背景

南アフリカの金鉱労働者のあいだで結核が流行している.われわれは,結核伝播抑制を目的として,活動性結核または潜在性結核感染症に対する治療と連携させたマススクリーニングによる介入試験を評価した.

方 法

クラスター無作為化試験において,金鉱労働者 78,744 人から成る 15 グループを,介入グループ(8 グループ,40,981 人)と対照グループ(7 グループ,37,763 人)に割り付けた.介入グループでは全労働者に結核スクリーニングを提案した.活動性結核と診断された場合は治療を紹介し,活動性結核と診断されなかった場合はイソニアジドの 9 ヵ月間の予防投与を提案した.主要評価項目は介入終了後 12 ヵ月間におけるグループ単位の結核発生率とした.副次的評価項目は試験終了時の結核罹患率などとした.

結 果

介入グループでは,27,126 人(66.2%)がスクリーニングを受けた.このうち 23,659 人(87.2%)がイソニアジドの服用を開始し,グループによって 35~79%の労働者が 6 ヵ月以上調剤を受けた.結核発生率は介入によって低下せず,介入グループ 3.02/100 人年,対照グループ 2.95/100 人年(介入グループの率比 1.00,95%信頼区間 [CI] 0.75~1.34,P=0.98,補正率比 0.96,95% CI 0.76~1.21,P=0.71)であった.結核罹患率も低下しなかった(2.35% 対 2.14%,補正率比 0.98,95% CI 0.65~1.48,P=0.90).10,909 人を対象にイソニアジドの直接効果を解析した結果,投与期間中は結核発生率が低下することが示されたが(イソニアジド投与中の労働者 1.10 症例/100 人年 対 対照 2.91 症例/100 人年,補正率比 0.42,95% CI 0.20~0.88,P=0.03),その後防御効果は急速に消失した.

結 論

南アフリカの金鉱において,潜在性結核感染症に対するマススクリーニングと治療は,イソニアジドの予防投与中は有効であったものの,結核対策に重要な効果をもたらさなかった.(エイズ・結核流行に効果的に対処するためのコンソーシアムほかから研究助成を受けた.Thibela TB Current Controlled Trials 番号:ISRCTN63327174)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 301 - 10. )