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March 6, 2014 Vol. 370 No. 10

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HIV 感染者の自己 CD4 T 細胞におけるCCR5 の遺伝子編集
Gene Editing of CCR5 in Autologous CD4 T Cells of Persons Infected with HIV

P. Tebas and Others

背景

CCR5 はヒト免疫不全ウイルス(HIV)の主要な共受容体である.遺伝子の部位特異的組換え(「遺伝子編集」),ここでは,ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)で CCR5 遺伝子を永久に機能しないようにした自己 CD4 T 細胞を注入することが,安全かどうかを検討した.

方 法

ZFN で修飾した自己 CD4 T 細胞の単回注入の非盲検非無作為化非対照試験に患者 12 例を登録した.患者は高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を受けているあいだはウイルス血症を起こしていない,慢性 HIV 感染者であった.このうち 6 例は,自己 CD4 T 細胞 100 億個を注入後 4 週の時点で抗レトロウイルス療法を中断した.注入した細胞の 11~28%は ZFN によって遺伝子組換えされていた.主要評価項目は,治療に関連する有害事象によって評価した安全性とした.副次的評価項目は,免疫再構築や HIV 耐性の指標とした.

結 果

重篤な有害事象 1 件が ZFN で修飾した自己 CD4 T 細胞の注入に関連しており,輸血反応によるものであった.1 週目の CD4 T 細胞数の中央値は 1,517/mm3 で,注入前の 448/mm3 から有意に増加していた(P<0.001).1 週目の CCR5 組換え CD4 T 細胞数の中央値は 250/mm3 であり,末梢血単核球の 8.8%,血中 CD4 T 細胞の 13.9%を占めていた.組換え細胞の推定平均半減期は 48 週であった.治療中断とその結果ウイルス血症を起こしている期間における血中の CCR5 組換え細胞の減少率(-1.81/日)は,非組換え細胞の減少率(-7.25/日)よりも有意に小さかった(P=0.02).HIV RNA は,評価しえた 4 例のうち 1 例で検出限界以下となっていた.血中 HIV DNA 量は患者の大半で減少していた.

結 論

CCR5 組換え自己 CD4 T 細胞の注入は,今回の試験の範囲内では安全であった.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00842634)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 901 - 10. )