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December 4, 2014 Vol. 371 No. 23

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悪性黒色腫における CTLA-4 阻害薬の臨床効果の遺伝的基盤
Genetic Basis for Clinical Response to CTLA-4 Blockade in Melanoma

A. Snyder and Others

背景

免疫チェックポイント阻害薬は有効な癌治療薬であるが,臨床効果の分子的決定因子は明らかにされていない.イピリムマブ(ipilimumab)とトレメリムマブ(tremelimumab)は,抗細胞傷害性 T リンパ球関連抗原 4(CTLA-4)抗体である.抗 CTLA-4 療法により,悪性黒色腫患者の全生存期間は延長する.CTLA-4 阻害薬により,T 細胞が活性化され,腫瘍細胞を破壊することができるようになる.

方 法

イピリムマブまたはトレメリムマブの投与を受けた悪性黒色腫患者の腫瘍組織を採取した.腫瘍検体と,マッチさせた血液検体を用いて全エクソーム配列決定を行った.体細胞変異と,それによって生じる新規抗原候補の特徴を明らかにした.新規抗原ペプチドによって,イピリムマブの投与を受けた患者のリンパ球が活性化するかを検査した.

結 果

大量並列シーケンシングを用いて,CTLA-4 阻害薬投与を受けた患者,計 64 例の悪性黒色腫のエクソームの特徴を明らかにした.長期にわたり臨床効果が得られた患者 11 例と,効果が最小または皆無であった患者 14 例を発見セットとした.変異量は臨床効果の程度と関連していたが(P=0.01),単独では効果を予測するには不十分であった.ゲノムワイド体細胞新規エピトープ解析と,患者特異的 HLA タイピングを用いて,各患者の新規腫瘍抗原候補を同定した.われわれは,CTLA-4 阻害薬の治療効果が高い腫瘍に特異的に存在する新規抗原の特徴を明らかにした.このシグネチャーの妥当性を,抗 CTLA-4 抗体の投与を受けた別の悪性黒色腫患者 39 例から成る検証セットにおいて検証した.予測された新規抗原は,イピリムマブの投与を受けた患者の T 細胞を活性化した.

結 論

これらの所見により,悪性黒色腫における CTLA-4 阻害薬の効果についての遺伝的基盤が明示された.また,抗 CTLA-4 薬の投与が検討される患者にエクソーム検査を行う理論的根拠が示された.(Frederick Adler Fund ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2189 - 99. )