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July 17, 2014 Vol. 371 No. 3

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転移性腸膵神経内分泌腫瘍に対するランレオチド
Lanreotide in Metastatic Enteropancreatic Neuroendocrine Tumors

M.E. Caplin and Others

背景

ソマトスタチンアナログは,神経内分泌腫瘍におけるホルモン過剰分泌に関連する症状の治療によく用いられるが,その抗腫瘍効果に関するデータは限られている.

方 法

ソマトスタチン受容体陽性で,グレード 1 または 2(腫瘍増殖指数 [Ki-67 抗原の染色に基づく]<10%)の進行した高分化型または中分化型の非機能性神経内分泌腫瘍を有し,病勢の進行が確認された患者を対象に,ソマトスタチンアナログであるランレオチドの無作為化二重盲検プラセボ対照多国間共同試験を行った.腫瘍は膵臓,中腸,後腸由来,または原発不明であった.患者を,ランレオチドの徐放性水性ゲル製剤(Autogel [米国ではデポー製剤 {Depot} として知られる],Ipsen 社)120 mg を投与する群(101 例)と,プラセボを投与する群(103 例)に無作為に割り付け,28 日ごとに 1 回,96 週間投与した.主要評価項目は無増悪生存期間とし,増悪(固形癌治療効果判定基準 [RECIST] バージョン 1.0 に基づく)または死亡までの期間と定義した.副次的評価項目は,全生存期間,QOL(欧州がん研究治療組織 [EORTC] 質問票 QLQ-C30 と QLQ-GI.NET21 で評価),安全性などとした.

結 果

大半の患者(96%)で,無作為化前の 3~6 ヵ月のあいだに腫瘍の進行は認められず,33%では肝臓の腫瘍量が 25%を超えていた.ランレオチドは,プラセボと比較して有意に長い無増悪期間に関連した(中央値未到達 対 18.0 ヵ月,層別化 log-rank 検定で P<0.001,増悪または死亡のハザード比 0.47,95%信頼区間 [CI] 0.30~0.73).24 ヵ月推定無増悪生存率は,ランレオチド群 65.1%(95% CI 54.0~74.1),プラセボ群 33.0%(95% CI 23.0~43.3)であった.事前に規定したサブグループにおける治療効果は,信頼区間が広かったいくつかの小規模サブグループを除き,全集団の治療効果とおおむね一致した.QOL および全生存期間に群間で有意差は認められなかった.頻度の高かった治療関連有害事象は下痢(ランレオチド群 26%,プラセボ群 9%)であった.

結 論

ランレオチドは,グレード 1 または 2(Ki-67 指数<10%)の転移性腸膵神経内分泌腫瘍患者において,有意に長い無増悪生存期間と関連した.(Ipsen 社から研究助成を受けた.CLARINET 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00353496,EudraCT 登録番号 2005-004904-35)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 224 - 33. )