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April 9, 2015 Vol. 372 No. 15

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治療歴のあるワルデンシュトレームマクログロブリン血症に対するイブルチニブ
Ibrutinib in Previously Treated Waldenström’s Macroglobulinemia

S.P. Treon and Others

背景

ワルデンシュトレームマクログロブリン血症では,MYD88L265P 変異と CXCR4WHIM 変異が高頻度に認められる.MYD88L265P は,イブルチニブ(ibrutinib)の標的であるブルトン型チロシンキナーゼを介して腫瘍細胞増殖を引き起こす.CXCR4WHIM 変異は,in vitro でイブルチニブに対する耐性を付与する.

方 法

1 種類以上の治療を受けたことがある症候性ワルデンシュトレームマクログロブリン血症患者 63 例を対象に,イブルチニブの前向き試験を行った.MYD88 変異と CXCR4 変異が転帰に及ぼす影響についても検討した.イブルチニブ 420 mg/日の経口投与を,病勢進行または忍容できない毒性が発現するまで行った.

結 果

イブルチニブ投与後,血清 IgM の中央値は,3,520 mg/dL から 880 mg/dL に減少し,ヘモグロビンの中央値は,10.5 g/dL から 13.8 g/dL に上昇し,骨髄病変は 60%から 25%に減少した(すべての比較において P<0.01).軽度奏効(minor response)以上に達するまでの期間の中央値は 4 週であった.全奏効率は 90.5%,大奏効(major response)率は 73.0%で,いずれも MYD88L265PCXCR4WT(WT は野生型を示す)の患者で最高であり(全奏効率 100%,大奏効率91.2%),次いで MYD88L265PCXCR4WHIM の患者(それぞれ 85.7%,61.9%),MYD88WTCXCR4WT の患者(71.4%,28.6%)であった.2 年の時点での推定無増悪生存率は 69.1%,推定全生存率は 95.2%であった.治療に関連するグレード 2 以上の毒性として,好中球減少症(22%)と血小板減少症(14%)がみられ,これらは複数の治療歴のある例で頻度が高く,そのほか治療後出血(3%),魚油サプリメント摂取に関連する鼻出血(3%),不整脈の既往歴に関連する心房細動(5%)などがあった.

結 論

治療歴のあるワルデンシュトレームマクログロブリン血症患者において,イブルチニブは,活性が高く,持続的な奏効に関連し,安全であった.MYD88CXCR4 の変異状況は,イブルチニブに対する反応に影響を及ぼした.(Pharmacyclics 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01614821)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1430 - 40. )