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January 29, 2015 Vol. 372 No. 5

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2014 年のガイドラインに従って高血圧治療を行った場合の費用対効果
Cost-Effectiveness of Hypertension Therapy According to 2014 Guidelines

A.E. Moran and Others

背景

米国における 2014 年の高血圧治療ガイドラインに基づくと,治療が適応となる成人の多くが治療を受けていない.米国成人に 2014 年のガイドラインに従って高血圧治療を行った場合の費用対効果を推定した.

方 法

心血管疾患政策モデルを用いて,2014~24 年に治療歴のない 35~74 歳の成人を治療した場合の,薬物治療およびモニタリング費用,心血管疾患の治療に関して回避された費用,および獲得質調整生存年(QALY)をシミュレーションした.費用対効果を年齢,高血圧の程度,慢性腎臓病(CKD)または糖尿病の有無別に評価した.

結 果

新しい高血圧ガイドラインが完全に実施された場合,年間で心血管イベントは約 56,000 件,心血管系の原因による死亡は約 13,000 件少なくなり,これにより全体の費用が削減される.この推定から,心血管疾患またはステージ 2 の高血圧を有する患者は,男性では 35~74 歳の場合,女性では 45~74 歳の場合,治療によって命が救われ,費用が削減されることが示された.心血管疾患を有する男女,ステージ 2 の高血圧を有するが心血管疾患は有していない男性を治療することで,服薬アドヒアランスを向上させる戦略のために治療費が倍増したとしても,費用は削減される.ステージ 1 の高血圧の治療はすべての男性と,45~74 歳の女性において優れた費用対効果(QALY あたり 50,000 ドルを下回ると定義)が認められ,ステージ 1 の高血圧を有するが心血管疾患は有していない 35~44 歳の女性を治療することによる費用対効果は,中程度であるか低かった.

結 論

米国の 35~74 歳の成人に 2014 年の高血圧治療ガイドラインを実施した場合,費用を削減しながら,年間で約 56,000 件の心血管イベントと,約 13,000 件の死亡を予防できる可能性がある.心血管疾患またはステージ 2 の高血圧を有するすべての患者の高血圧をコントロールすることは有効であり,費用を削減できる可能性がある.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 447 - 55. )