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February 12, 2015 Vol. 372 No. 7

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放射性ヨウ素治療抵抗性甲状腺癌におけるレンバチニブとプラセボとの比較
Lenvatinib versus Placebo in Radioiodine-Refractory Thyroid Cancer

M. Schlumberger and Others

背景

血管内皮増殖因子受容体 1,2,3,線維芽細胞増殖因子受容体 1~4,血小板由来増殖因子受容体α,RET,および KIT の経口阻害薬であるレンバチニブ(lenvatinib)は,放射性ヨウ素(ヨウ素 131)治療抵抗性の分化型甲状腺癌患者を対象とした第 2 相試験において臨床活性を示した.

方 法

ヨウ素 131 治療抵抗性の進行性甲状腺癌患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検第 3 相試験において,261 例をレンバチニブ(1 日 1 回 24 mg を 28 日サイクル)投与群,131 例をプラセボ投与群に無作為に割り付けた.プラセボ群の患者には,病勢進行が認められた時点でレンバチニブの非盲検下での投与を可能とした.主要評価項目は無増悪生存期間とした.副次的評価項目は奏効率,全生存期間,安全性などとした.

結 果

無増悪生存期間中央値は,レンバチニブ群 18.3 ヵ月,プラセボ群 3.6 ヵ月であった(進行または死亡のハザード比 0.21,99%信頼区間 0.14~0.31,P<0.001).レンバチニブに関連した無増悪生存期間への利益は,事前に規定したすべてのサブグループにおいて認められた.奏効率は,レンバチニブ群 64.8%(完全寛解 4 例,部分寛解 165 例),プラセボ群 1.5%であった(P<0.001).全生存期間中央値は両群とも未到達であった.全グレードの治療関連有害作用のうち,レンバチニブ群で発現率が 40%を超えたものは,高血圧(67.8%),下痢(59.4%), 疲労または無力(59.0%), 食欲不振(50.2%), 体重減少(46.4%),悪心(41.0%)であった.有害作用のため,レンバチニブ投与群の 37 例(14.2%)とプラセボ投与群の 3 例(2.3%)が試験薬を中止した.レンバチニブ群で治療期間中に発生した死亡 20 例のうち,6 例は試験薬に関連すると考えられた.

結 論

ヨウ素 131 治療抵抗性の甲状腺癌患者において,レンバチニブは,プラセボと比較して無増悪生存期間と奏効率の有意な改善に関連した.レンバチニブ投与患者では,プラセボ投与患者よりも有害作用が多かった.(Eisai 社から研究助成を受けた.SELECT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01321554)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 621 - 30. )