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February 12, 2015 Vol. 372 No. 7

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喫煙と死亡 ― 立証されている原因のほかに
Smoking and Mortality ― Beyond Established Causes

B.D. Carter and Others

背景

現在喫煙者の死亡率は,喫煙歴のない人の 2~3 倍高い.この超過死亡の大半は,喫煙が原因として正式に立証され,米国における喫煙に起因する死亡数の公式な推計値にも含まれている 21 のよくある疾患によって説明できると考えられている.しかし,喫煙がそれ以外の疾患を引き起こすならば,これらの公式な推計値は,喫煙に起因する死亡数を大幅に過小評価しているおそれがある.

方 法

米国における現代のコホート研究 5 件から,55 歳以上の男性 421,378 人,女性 532,651 人のデータをプールした.参加者の追跡は 2000 年から 2011 年まで行われ,年齢,人種,教育水準,1 日のアルコール摂取量,コホートで補正した Cox 比例ハザードモデルを用いて,相対リスクと 95%信頼区間(CI)を推定した.

結 果

追跡調査期間中に 181,377 人が死亡し,このうち現在喫煙者は 16,475 人であった.全体では,現在喫煙者における超過死亡の約 17%が,喫煙に起因するとは現時点では立証されていない原因に関連した死亡であった.これらには,現在の喫煙と,腎不全による死亡(相対リスク 2.0,95% CI 1.7~2.3),腸管虚血による死亡(相対リスク 6.0,95% CI 4.5~8.1),高血圧性心疾患による死亡(相対リスク 2.4,95% CI 1.9~3.0),感染症による死亡(相対リスク 2.3,95% CI 2.0~2.7),種々の呼吸器疾患による死亡(相対リスク 2.0,95% CI 1.6~2.4),乳癌による死亡(相対リスク 1.3,95% CI 1.2~1.5),前立腺癌による死亡(相対リスク 1.4,95% CI 1.2~1.7)との関連が含まれた.喫煙歴のある人では,これらの転帰それぞれの相対リスクは,禁煙後の年数が長いほど低下した.

結 論

2000~11 年の現在喫煙者における超過死亡のかなりの部分は,喫煙が原因とは正式には立証されていない疾患に関連するものであった.これらの関連についてはさらに検討する必要があり,適切な場合には,喫煙の死亡負担を検討する際に考慮すべきである.(米国対がん協会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 631 - 40. )