September 24, 2015 Vol. 373 No. 13
デング熱流行地域におけるデングワクチンの有効性と長期安全性
Efficacy and Long-Term Safety of a Dengue Vaccine in Regions of Endemic Disease
S.R. Hadinegoro and Others
4 価デングワクチン候補を評価する臨床試験が,アジア太平洋諸国とラテンアメリカ諸国で,2~16 歳の小児 35,000 例超を対象に 3 件行われている.長期追跡調査の中間解析と,有効性に関する統合解析の結果を報告する.
ワクチンの安全性は,2 件の第 3 相試験(CYD14 試験,CYD15 試験)と,1 件の第 2b 相試験(CYD23/57 試験)の追跡 3~6 年目におけるウイルス学的に確認されたデング熱による入院の発生率を代替エンドポイントとして評価を行っている.有効性は,CYD14 試験および CYD15 試験の最初の 25 ヵ月間の統合データを用いて推定した.
追跡データは,CYD14 試験参加者 10,275 例中 10,165 例(99%)と,CYD15 試験参加者 20,869 例中 19,898 例(95%)で得られた.CYD23 試験に参加した 4,002 例のうち 3,203 例(80%)が CYD57 試験に登録され,データが得られた.CYD14 試験,CYD15 試験,CYD57 試験を統合すると,3 年目にウイルス学的に確認されたデング熱により入院した患者は,ワクチン群 22,177 例中 65 例と,対照群 11,089 例中 39 例であった.デング熱による入院の統合相対リスクは,参加者全体では 0.84(95%信頼区間 [CI] 0.56~1.24),9 歳未満の参加者では 1.58(95% CI 0.83~3.02),9 歳以上の参加者では 0.50(95% CI 0.29~0.86)であった.3 年目に独立データモニタリング委員会の基準で定義した重症デング熱により入院した患者は,ワクチン群 22,177 例中 18 例と,対照群 11,089 例中 6 例であった.CYD14 試験と CYD15 試験を統合した,最初の 25 ヵ月間の症候性デング熱に対するワクチン有効率は,参加者全体では 60.3%(95% CI 55.7~64.5),9 歳以上の参加者では 65.6%(95% CI 60.7~69.9),9 歳未満の参加者では 44.6%(95% CI 31.6~55.0)であった.
9 歳未満の小児で 3 年目にデング熱による入院の発生率が高かったことは説明がつかず,長期追跡調査で注意深く観察する必要があるが,2~16 歳の小児におけるデング熱による入院のリスクは,ワクチン群のほうが対照群よりも低かった.(Sanofi Pasteur 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00842530,NCT01983553,NCT01373281,NCT01374516)