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October 29, 2015 Vol. 373 No. 18

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糖尿病患者におけるパクリタキセル溶出冠動脈ステントとエベロリムス溶出冠動脈ステントとの比較
Paclitaxel-Eluting versus Everolimus-Eluting Coronary Stents in Diabetes

U. Kaul and Others

背景

糖尿病と冠動脈疾患を合併し,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者に対してどの薬剤溶出性ステントを選択するかについては,議論が続いている.パクリタキセル溶出ステントと,ラパマイシン(現在の名称はシロリムス)またはその類似化合物(エベロリムス,ゾタロリムス [zotarolimus])を溶出するステントとを比較した先行試験では,ステント間の同等性を示すものからエベロリムス溶出ステントの優越性を示すものまで,相反する結果が示されている.

方 法

糖尿病と冠動脈疾患を合併し,PCI を受ける患者 1,830 例を,パクリタキセル溶出ステントを留置する群とエベロリムス溶出ステントを留置する群に無作為に割り付けた.非劣性試験デザインとし,リスク差の 95%信頼区間(CI)の上限 4 パーセントポイントを非劣性マージンとした.主要エンドポイントは,追跡調査 1 年の時点での標的血管不全とし,その定義は,心臓死,標的血管心筋梗塞,虚血による標的血管血行再建の複合とした.

結 果

1 年の時点で,パクリタキセル溶出ステントは,主要エンドポイントに関して,エベロリムス溶出ステントに対する非劣性の基準を満たさなかった(標的血管不全の発生率 5.6% 対 2.9%,リスク差 2.7 パーセントポイント [95% CI 0.8~4.5],相対リスク 1.89 [95% CI 1.20~2.99],非劣性について P=0.38).パクリタキセル溶出ステント群では,標的血管不全の 1 年発生率がエベロリムス溶出ステント群と比較して有意に高く(P=0.005),また,自然発症心筋梗塞(3.2% 対 1.2%,P=0.004),ステント血栓症(2.1% 対 0.4%,P=0.002),標的血管血行再建(3.4% 対 1.2%,P=0.002),標的病変血行再建(3.4% 対 1.2%,P=0.002)についても有意に高かった.

結 論

糖尿病と冠動脈疾患を合併し,PCI を受ける患者において,パクリタキセル溶出ステントに,エベロリムス溶出ステントに対する非劣性は認められず,また,1 年の時点での標的血管不全,心筋梗塞,ステント血栓症,標的血管血行再建の発生率がより高かった.(Boston Scientific 社から研究助成を受けた.TUXEDO–India 試験:Clinical Trials Registry–India 登録番号 CTRI/2011/06/001830)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1709 - 19. )