The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 16, 2015 Vol. 373 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

シタグリプチンが 2 型糖尿病患者の心血管転帰に及ぼす影響
Effect of Sitagliptin on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes

J.B. Green and Others

背景

2 型糖尿病と心血管疾患を合併している患者の通常の治療に,ジペプチジルペプチダーゼ 4 阻害薬シタグリプチンを追加した場合の,心血管イベントに対する長期的影響に関するデータは不足している.

方 法

無作為化二重盲検試験において,患者 14,671 例を,現行の治療にシタグリプチンを追加する群と,プラセボを追加する群に割り付けた.全例で個々の適切な目標血糖値を達成できるよう,必要に応じて血糖降下薬の非盲検投与を推奨した.シタグリプチンのプラセボに対する非劣性を証明するため,相対リスクは 1.3 を上限値とした.主要心血管転帰は,心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,不安定狭心症による入院の複合とした.

結 果

中央値 3.0 年の追跡期間中,糖化ヘモグロビン値にはわずかな差が認められた(シタグリプチン 対 プラセボの最小二乗平均の差 -0.29 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.32~-0.27).全体で,主要複合心血管転帰はシタグリプチン群 839 例(11.4%,100 人年あたり 4.06),プラセボ群 851 例(11.6%,100 人年あたり 4.17)に発生し,シタグリプチンのプラセボに対する非劣性が示された(ハザード比 0.98,95% CI 0.88~1.09,P<0.001).心不全による入院率に 2 群間で差はなかった(ハザード比 1.00,95% CI 0.83~1.20,P=0.98).急性膵炎の発症率(P=0.07),膵癌の発生率(P=0.32)に群間で有意差は認められなかった.

結 論

2 型糖尿病と心血管疾患を合併している患者の通常の治療にシタグリプチンを追加しても,主要有害心血管イベント,心不全による入院,その他の有害事象のリスクを上昇させることはないと考えられた.(Merck Sharp & Dohme 社から研究助成を受けた.TECOS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00790205)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 232 - 42. )