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July 16, 2015 Vol. 373 No. 3

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肺癌の診断評価における気道上皮細胞のゲノム分類
A Bronchial Genomic Classifier for the Diagnostic Evaluation of Lung Cancer

G.A. Silvestri and Others

背景

肺癌が疑われる病変を有する患者では,気管支鏡検査では診断が確定しない頻度が高い.そのような場合は侵襲的検査を追加で行うことが多いが,多くの病変は良性である.われわれは,気管支鏡検査の診断能を向上させる可能性のある,気道上皮細胞の遺伝子発現分類の妥当性の検証を試みた.

方 法

肺癌が疑われ気管支鏡検査を受ける現在喫煙者・過去喫煙者を,28 施設で実施した 2 つの前向き多施設共同研究(AEGIS-1 研究,AEGIS-2 研究)に登録した.肺癌の可能性を評価するため,正常に見える主気管支から採取した気道上皮細胞で遺伝子発現分類を評価した.

結 果

AEGIS-1 研究(298 例),AEGIS-2 研究(341 例)の計 639 例が登録基準を満たした.気管支鏡検査を受けた患者の 43%で肺癌の診断は確定されず,良性病変を有する患者の 35%では気管支鏡検査後に侵襲的検査が行われた.AEGIS-1 研究では,この遺伝子発現分類の受信者動作特性曲線下面積(AUC)は 0.78(95%信頼区間 [CI] 0.73~0.83)であり,感度は 88%(95% CI 83~92),特異度は 47%(95% CI 37~58)であった.AEGIS-2 研究では,遺伝子発現分類の AUC は 0.74(95% CI 0.68~0.80)であり,感度は 89%(95% CI 84~92),特異度は 47%(95% CI 36~59)であった.この遺伝子発現分類と気管支鏡検査の併用は,病変の大きさ,位置とは無関係に,AEGIS-1 研究では感度 96%(95%CI 93~98),AEGIS-2 研究では感度 98%(95% CI 96~99)であることが示された.肺癌の検査前確率が中程度であった 101 例のうち,気管支鏡検査で診断が確定しなかった患者では,この遺伝子発現分類の陰性適中率は 91%(95% CI 75~98)であった.

結 論

遺伝子発現分類により,肺癌検出における気管支鏡検査の診断能が向上した.気管支鏡検査では診断が確定しない中リスク患者において,この分類スコアが陰性であった場合,より保守的な診断アプローチが支持される.(Allegro Diagnostics 社ほかから研究助成を受けた.AEGIS-1 研究:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01309087,AEGIS-2 研究:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00746759)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 243 - 51. )