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July 30, 2015 Vol. 373 No. 5

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死体臓器ドナーにおける低体温療法と移植腎機能
Therapeutic Hypothermia in Deceased Organ Donors and Kidney-Graft Function

C.U. Niemann and Others

背景

移植腎機能発現遅延(DGF)は腎移植レシピエントの最大 50%で報告されており,医療費の増加,長期的な移植腎機能の低下と関連している.臓器摘出前のドナーにおける軽度低体温療法が DGF の発生率に及ぼす影響は明らかにされていない.

方 法

2 つの広範囲の臓器調達地域で臓器ドナー(神経学的基準に基づく死亡宣告後)を登録し,34~35℃(低体温)と 36.5~37.5℃(正常体温)の 2 種類の目標体温のいずれかに無作為に割り付けた.体温管理は臓器提供と試験参加について承諾を得た後に開始し,手術室で臓器を摘出するために臓器ドナーが集中治療室を退室する時点で終了とした.主要転帰は,腎移植レシピエントにおける DGF とし,移植後 1 週間以内に透析を要することと定義した.副次的転帰は,各群で 1 人あたりに移植された臓器の割合と,各ドナーから移植された臓器の総数とした.

結 果

中間解析で低体温の有効性が認められた後,独立データ安全性モニタリング委員会の勧告に基づき,試験は早期に中止された.試験中止時,370 例の臓器ドナーが登録されていた(低体温群 180 例,正常体温群 190 例).572 例の患者が腎移植を受けた(低体温群のドナーからの腎移植 285 例,正常体温群のドナーからの腎移植 287 例).DGF は,低体温群のドナーから腎移植を受けた 79 例(28%)と,正常体温群のドナーから腎移植を受けた 112 例(39%)で発現した(オッズ比 0.62,95%信頼区間 0.43~0.92,P=0.02).

結 論

神経学的基準に基づく死亡宣告を受けた臓器ドナーに軽度低体温療法を施行した場合,正常体温療法と比較して,レシピエントにおける DGF 発生率が有意に低下した.(米国保健資源事業局から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01680744)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 405 - 14. )