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September 10, 2015 Vol. 373 No. 11

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急性冠症候群に対するビバリルジンと未分画ヘパリンとの比較
Bivalirudin or Unfractionated Heparin in Acute Coronary Syndromes

M. Valgimigli and Others

背景

急性冠症候群患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の一環として,ビバリルジン(bivalirudin)を投与することの有効性と安全性については,矛盾するエビデンスが存在する.

方 法

急性冠症候群で PCI が予定されている患者 7,213 例を,ビバリルジンを投与する群と,未分画ヘパリンを投与する群に無作為に割り付けた.ビバリルジン群の患者をさらに,PCI 後もビバリルジンを投与する群と,投与しない群に無作為に割り付けた.ビバリルジン群とヘパリン群の比較における主要評価項目は,主要有害心血管イベント(死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合)および正味の臨床有害事象(重大な出血,主要有害心血管イベントの複合)の発生とした.PCI 後にビバリルジンを投与した群と投与しなかった群の比較における主要評価項目は,緊急標的血管血行再建,明確なステント血栓症,正味の臨床有害事象の複合とした.

結 果

主要有害心血管イベントの発生率は,ビバリルジン群でヘパリン群と比較して有意に低いということはなく(それぞれ 10.3%と 10.9%,相対リスク 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.09,P=0.44),正味の臨床有害事象の発生率についても同様であった(それぞれ 11.2%と 12.4%,相対リスク 0.89,95% CI 0.78~1.03,P=0.12).PCI 後にビバリルジンを投与した群では,投与しなかった群と比較して,緊急標的血管血行再建,明確なステント血栓症,正味の臨床有害事象の発生率に有意な低下は認められなかった(それぞれ 11.0%と 11.9%,相対リスク 0.91,95% CI 0.74~1.11,P=0.34).

結 論

急性冠症候群患者において,ビバリルジンを投与した群で,未分画ヘパリンを投与した群と比較して,主要有害心血管イベントの発生率と正味の臨床有害事象の発生率が有意に低くなることはなかった.また,PCI 後もビバリルジンを投与した群で,投与しなかった群と比較して,緊急標的血管血行再建,明確なステント血栓症,正味の臨床有害事象の複合発生率が有意に低くなることはなかった.(Medicines Company 社,Terumo Medical 社から研究助成を受けた.MATRIX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01433627)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 997 - 1009. )