潰瘍性大腸炎に対するオザニモドによる寛解導入および維持療法
Ozanimod Induction and Maintenance Treatment for Ulcerative Colitis
W.J. Sandborn and Others
オザニモド(ozanimod,RPC1063)は,末梢リンパ球を隔離するスフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ 1,5 の経口アゴニストであり,消化管へと循環する活性化リンパ球を減少させる可能性がある.
中等症~重症の潰瘍性大腸炎の成人 197 例を対象に,オザニモドの第 2 相二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,最長 32 週間,1 日 1 回オザニモド 0.5 mg を投与する群,1 mg を投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.疾患活動性の測定には,Mayo Clinic スコアとサブスコアを用いた.尺度はそれぞれ 0~12 点,0~3 点で,いずれもスコアが高いほど疾患が重症であることを示す.主要転帰は,8 週の時点での臨床的寛解(Mayo Clinic スコアが 2 点以下で,サブスコアが 1 点を超えない)とした.
主要転帰は,オザニモド 1 mg 群では 16%,0.5 mg 群では 14%で発生したのに対し,プラセボ群では 6%で発生した(プラセボ群との比較においてオザニモド 1 mg 群 P=0.048,0.5 mg 群 P=0.14).主要転帰に関して,オザニモド 0.5 mg 群とプラセボ群のあいだで有意差は認められなかった.そのため,階層的に行う計画であった検定では,副次的転帰の解析は探索的とみなされた.8 週の時点での臨床反応(Mayo Clinic スコアの 3 点以上かつ 30%以上の低下,および直腸出血のサブスコアの 1 点以上の低下またはサブスコアが 1 点以下)は,オザニモド 1 mg 群では 57%,0.5 mg 群では 54%で認められたのに対し,プラセボ群では 37%で認められた.32 週の時点で,臨床的寛解率はオザニモド 1 mg 群 21%,0.5 mg 群 26%,プラセボ群 6%であり,臨床反応率はそれぞれ 51%,35%,20%であった.8 週の時点で,リンパ球の絶対数はオザニモド 1 mg 群ではベースラインから 49%減少し,0.5 mg 群では 32%減少していた.有害事象全体で多くみられたのは貧血と頭痛であった.
この予備試験では,オザニモド 1 mg/日によって,潰瘍性大腸炎の臨床的寛解率がプラセボと比較してわずかに上昇した.この試験は,臨床的有用性の確立にも安全性の評価にも,規模と期間が不十分であった.(Receptos 社から研究助成を受けた.TOUCHSTONE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01647516)