小児期に持続型喘息を有していた例における肺機能の成長と低下のパターン
Patterns of Growth and Decline in Lung Function in Persistent Childhood Asthma
M.J. McGeachie and Others
小児期に持続型喘息を有していた患者の肺機能の成長と低下を経時的に測定して追跡することにより,喘息とその後の慢性気流閉塞との関連を明らかにできる可能性がある.
小児喘息患者を,小児期から成人期にかけてスパイロメトリーを行い,代表的な 1 秒量(FEV1)のグラフに基づいて,肺機能の成長と低下の 4 つの特徴的なパターンに分類した.異常なパターンに関連する危険因子の検討も行った.正常値の定義には,全米健康栄養調査(NHANES)の非喘息被験者の FEV1 値を用いた.
684 例のうち,170 例(25%)の肺機能は,早期低下を伴わない正常な成長パターンを示した.514 例(75%)は異常なパターンを示し,内訳は,176 例(26%)が低成長・早期低下,160 例(23%)が低成長のみ,178 例(26%)が正常な成長・早期低下を示した.ベースラインの FEV1 が低値であること,気管支拡張薬の効果が小さいこと,ベースラインで気道過敏性を認めること,男性であることが,低成長と関連していた(すべての比較について P<0.001).最後のスパイロメトリー実施時(平均 [±SD] 年齢 26.0±1.8 歳)に,測定値が「慢性閉塞性肺疾患に対するグローバルイニシアチブ(GOLD)」の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に合致する肺機能障害の基準を満たした患者は 73 例(11%)おり,この基準を満たした割合は,低成長パターンを示した例のほうが正常成長パターンを示した例よりも大きかった(18% 対 3%,P<0.001).
小児期に肺機能障害がみられることと男性であることが,肺機能の成長と低下の異常な経時的パターンのもっとも重要な予測因子であった.小児期に持続型喘息を有し,肺機能の低成長がみられる例では,成人早期における固定性気流閉塞と,おそらくは COPD のリスクが高い.(パーカー・B・フランシス財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00000575)