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May 26, 2016 Vol. 374 No. 21

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心血管疾患のない中等度リスクの人における降圧
Blood-Pressure Lowering in Intermediate-Risk Persons without Cardiovascular Disease

E.M. Lonn and Others

背景

降圧治療によって,心血管イベントのリスクが高い人と収縮期血圧が 160 mmHg 以上の人ではリスクが低下するが,中等度リスクの人と血圧が 160 mmHg 未満の人に果たす役割は明らかにされていない.

方 法

2×2 要因デザイン試験における比較の 1 つで,心血管疾患のない中等度リスクの 12,705 例を,カンデサルタン 16 mg/日+ヒドロクロロチアジド 12.5 mg/日を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.第一の複合主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中とした.第二の複合主要転帰は,第一のイベントに,心停止からの蘇生,心不全,血行再建を加えたものとした.追跡期間中央値は 5.6 年であった.

結 果

被験者のベースラインの平均血圧は 138.1/81.9 mmHg であった.血圧の低下は,実薬群のほうがプラセボ群よりも 6.0/3.0 mmHg 大きかった.第一の複合主要転帰は,実薬群では 260 例(4.1%)に,プラセボ群では 279 例(4.4%)に発生し(ハザード比 0.93;95%信頼区間 [CI] 0.79~1.10;P=0.40),第二の複合主要転帰はそれぞれ 312 例(4.9%)と 328 例(5.2%)に発生した(ハザード比 0.95;95% CI 0.81~1.11;P=0.51).仮説に基づき事前に 3 つのサブグループを規定した.そのうち,収縮期血圧が上位 1/3(>143.5 mmHg)のサブグループでは,実薬群のほうがプラセボ群よりも第一の複合主要転帰の発生率と第二の複合主要転帰の発生率が有意に低かったが,中位 1/3,下位 1/3 のサブグループでは,効果は中立的であった(2 つの複合主要転帰の傾向性についてそれぞれ P=0.02,P=0.009).

結 論

心血管疾患のない中等度リスクの人に対するカンデサルタン 16 mg/日+ヒドロクロロチアジド 12.5 mg/日の投与には,プラセボ投与と比較して,主要心血管イベントの発生率の低下との関連は認められなかった.(カナダ保健研究機構,AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00468923)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2009 - 20. )