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May 26, 2016 Vol. 374 No. 21

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血友病 A における第 VIII 因子と中和抗体の無作為化試験
A Randomized Trial of Factor VIII and Neutralizing Antibodies in Hemophilia A

F. Peyvandi and Others

背景

重症血友病 A 患者における抗第 VIII 因子同種中和抗体(インヒビター)の発生は,補充療法に用いる製剤に依存している可能性がある.

方 法

von Willebrand 因子(VWF)含有血漿由来第 VIII 因子製剤または遺伝子組換え型第 VIII 因子製剤の投与を受けた患者を対象に,第 VIII 因子インヒビターの発生率を評価する目的で無作為化試験を行った.42 施設で,適格基準(男児,6 歳未満,重症血友病 A,第 VIII 因子製剤による治療歴なしまたは血液成分による最小限の治療のみ)を満たした患者を登録した.

結 果

スクリーニングを受けた 303 例のうち 264 例が無作為化され,解析対象は 251 例であった.インヒビターの発生は 76 例に認められ,そのうち高力価(5 ベセスダ単位/mL 以上)のインヒビターが発生したのは 50 例であった.インヒビターは血漿由来第 VIII 因子治療例では 125 例中 29 例に発生し(高力価インヒビター 20 例),遺伝子組換え型第 VIII 因子治療例では 126 例中 47 例に発生した(高力価インヒビター 30 例).すべてのインヒビターの累積発生率は血漿由来第 VIII 因子治療例が 26.8%(95%信頼区間 [CI] 18.4~35.2),遺伝子組換え型第 VIII 因子治療例が 44.5%(95% CI 34.7~54.3)であり,高力価のインヒビターの累積発生率はそれぞれ 18.6%(95% CI 11.2~26.0),28.4%(95% CI 19.6~37.2)であった.すべてのインヒビターの主要エンドポイントの Cox 回帰モデルでは,遺伝子組換え型第 VIII 因子製剤は,血漿由来第 VIII 因子製剤と比較して,インヒビターの発生率が 87%高いことに関連していた(ハザード比 1.87,95% CI 1.17~2.96).この関連は多変量解析でも変わらなかった.高力価インヒビター発生のハザード比は 1.69(95% CI 0.96~2.98)であった.第二世代全長遺伝子組換え型製剤を除く遺伝子組換え型第 VIII 因子製剤に限定した解析でも,すべてのインヒビター(ハザード比 1.98,95% CI 0.99~3.97)と,高力価のインヒビター(ハザード比 2.59,95% CI 1.11~6.00)で同様の効果推定値が示された.

結 論

VWF 含有血漿由来第 VIII 因子製剤で治療した患者は,遺伝子組換え型第 VIII 因子製剤で治療した患者と比較してインヒビターの発生率が低かった.(アンジェロ・ビアンキ・ボノーミ基金ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01064284,EudraCT 登録番号 2009-011186-88)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2054 - 64. )