COPD に対するインダカテロール+グリコピロニウムとサルメテロール+フルチカゾンとの比較
Indacaterol–Glycopyrronium versus Salmeterol–Fluticasone for COPD
J.A. Wedzicha and Others
ほとんどのガイドラインでは,増悪リスクの高い慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療の第一選択として,長時間作用性β刺激薬(LABA)+吸入ステロイド,または長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を推奨している.このような患者に対して LABA と LAMA の併用療法が果たす役割は明らかにされていない.
52 週間の無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験を行った.過去 1 年間に少なくとも 1 回の増悪を起こした COPD 患者を,LABA としてインダカテロール(110μg)+LAMA としてグリコピロニウム(50μg)を 1 日 1 回吸入投与する群と,LABA としてサルメテロール(50μg)+吸入ステロイドとしてフルチカゾン(500μg)を 1 日 2 回吸入投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰はすべての COPD 増悪の年間発生率とした.
1,680 例をインダカテロール+グリコピロニウム群に,1,682 例をサルメテロール+フルチカゾン群に割り付けた.インダカテロール+グリコピロニウムは,COPD 増悪の年間発生率の低下に関して,サルメテロール+フルチカゾンに対し非劣性のみならず優越性をも示し,インダカテロール+グリコピロニウム群ではサルメテロール+フルチカゾン群よりも 11%低かった(3.59 対 4.03,率比 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.83~0.96,P=0.003).初回の増悪までの期間は,インダカテロール+グリコピロニウム群がサルメテロール+フルチカゾン群よりも長かった(71 日 [95% CI 60~82] 対 51 日 [95% CI 46~57],ハザード比 0.84 [95% CI 0.78~0.91],16%のリスク低下に相当,P<0.001).中等症または重症の増悪の年間発生率はインダカテロール+グリコピロニウム群がサルメテロール+フルチカゾン群よりも低く(0.98 対 1.19,率比 0.83,95% CI 0.75~0.91,P<0.001),初回の中等症または重症の増悪までの期間もインダカテロール+グリコピロニウム群がサルメテロール+フルチカゾン群よりも長く(ハザード比 0.78,95% CI 0.70~0.86,P<0.001),初回の重症の増悪までの期間の比較においても同様であった(ハザード比 0.81,95% CI 0.66~1.00,P=0.046).インダカテロール+グリコピロニウムと,サルメテロール+フルチカゾンによる COPD 増悪の発生率への影響は,ベースラインの血中好酸球数とは独立していた.有害事象と死亡の頻度は両群で同程度であった.肺炎の発症率は,インダカテロール+グリコピロニウム群で 3.2%,サルメテロール+フルチカゾン群で 4.8%であった(P=0.02).
過去 1 年間に増悪を起こした COPD 患者に対して,インダカテロール+グリコピロニウムは,サルメテロール+フルチカゾンと比較して増悪予防効果が高かった.(Novartis 社から研究助成を受けた.FLAME 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01782326)