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June 9, 2016 Vol. 374 No. 23

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発作性心房細動に対するクライオバルーンアブレーションと高周波アブレーションとの比較
Cryoballoon or Radiofrequency Ablation for Paroxysmal Atrial Fibrillation

K.-H. Kuck and Others

背景

薬剤抵抗性発作性心房細動の治療は,現行のガイドラインではカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術が推奨されている.もっとも多く用いられているのは高周波アブレーションであり,その次がクライオバルーン(冷凍凝固)アブレーションである.

方 法

薬剤抵抗性の有症候性発作性心房細動患者において,クライオバルーンアブレーションが,高周波アブレーションに対し非劣性を示すかどうかを明らかにする目的で多施設共同無作為化試験を行った.生存時間(time-to-event)解析による主要有効性エンドポイントは,指標のアブレーション後 90 日を過ぎて確認された最初の臨床的失敗(心房細動の再発,心房粗動または心房頻拍の発生,抗不整脈薬の使用,アブレーション再施行)とした.非劣性マージンは,ハザード比 1.43 と事前に規定した.主要安全性エンドポイントは,死亡,脳血管イベント,重篤な治療関連有害事象の複合とした.

結 果

762 例を無作為化した(クライオバルーンアブレーション群 378 例,高周波アブレーション群 384 例).平均追跡期間は 1.5 年であった.主要有効性エンドポイントは,クライオバルーン群では 138 例,高周波群では 143 例に発生した(Kaplan–Meier 推定法による 1 年イベント発生率はそれぞれ 34.6%と 35.9%,ハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.76~1.22,非劣性の P<0.001).主要安全性エンドポイントは,クライオバルーン群では 40 例に,高周波群では 51 例に発生した(Kaplan–Meier 推定法による 1 年イベント発生率はそれぞれ 10.2%と 12.8%,ハザード比 0.78,95% CI 0.52~1.18,P=0.24).

結 論

この無作為化試験では,クライオバルーンアブレーションは,薬剤抵抗性発作性心房細動患者に対する有効性に関して,高周波アブレーションに対し非劣性を示した.安全性全般に有意差は認められなかった.(Medtronic 社から研究助成を受けた.FIRE AND ICE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01490814)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2235 - 45. )