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June 9, 2016 Vol. 374 No. 23

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エクソーム配列決定と神経代謝疾患の管理
Exome Sequencing and the Management of Neurometabolic Disorders

M. Tarailo-Graovac and Others

背景

全エクソーム配列決定によって,遺伝子の発見と希少疾患の診断に変革がもたらされている.それから得られる知見を疾患修飾治療,とくに知的発達障害の治療に応用するのは困難である.しかし,先天代謝異常は,その多くが分子レベル・細胞レベルの病態生理学的特徴を標的とする治療に反応することから,例外である.

方 法

治療できる可能性のある先天代謝異常の遺伝的基盤を解明するため,知的発達障害と原因不明の代謝表現型を有する患者を連続的に登録し,詳細な臨床表現型の決定(患者ごとに,臨床的・生化学的表現型それぞれの構成要素を包括的に特徴付ける)と全エクソーム配列決定,そして半自動バイオインフォマティクスプロセスを組み合わせた.

結 果

発端者 47 例から検体を採取し,全エクソーム配列決定を行った.このうち,研究から離脱した 1 例を含む 6 例が除外された.残りの 41 例は,大部分は血縁関係のない,欧州系の両親から出生した.37 例で,新たに疾患との関連が示唆された遺伝子 2 個,候補遺伝子 9 個,新たに表現型が同定された既知遺伝子 22 個の多様体を同定した.これらの遺伝子の大部分の多様体は,病原性,または病原性の可能性が高いと分類された.5 家族の患者に認められた複雑な表現型は,共存する単因子性疾患で説明がついた.評価しえた 41 例中 28 例(68%)で診断がついた.18 例(44%)で標的介入が試みられた.

結 論

知的発達障害と原因不明の代謝異常を有する発端者 41 例に対する詳細な表現型の決定と全エクソーム配列決定によって,68%で診断がつき,新たに神経代謝疾患との関連が示唆された候補遺伝子 11 個が同定され,44%で遺伝カウンセリングの域を越えて治療が変更された.(BC 子ども病院基金ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2246 - 55. )