アフリカ人幼児における RTS,S/AS01 マラリアワクチンの 7 年間の有効性
Seven-Year Efficacy of RTS,S/AS01 Malaria Vaccine among Young African Children
A. Olotu and Others
マラリアワクチン候補の RTS,S/AS01 は,定期接種化に向けて情報を得ることを目的に,評価が行われている.
生後 5~17 ヵ月の時点で,RTS,S/AS01 ワクチン接種群と狂犬病(対照)ワクチン接種群に無作為に割り付けられ,3 回接種した児を 7 年間追跡した.評価項目は,臨床的マラリア(体温 37.5℃以上,かつ原虫数が 2,500/mm3 を超える熱帯熱マラリア原虫 [Plasmodium falciparum] 感染)とした.事前に規定しなかったが,各参加者のマラリア曝露を推定する目的で各自宅から半径 1 km 以内の居住者におけるマラリア有病率に関する情報をもとに解析を行った.ワクチン有効率は,RTS,S/AS01 群の対照群に対するハザード比または発生率比を 1 から減じ,100 を乗じた値と定義した.
7 年間の追跡で,臨床的マラリアは,RTS,S/AS01 群の 223 例では 1,002 件,対照群の 224 例では 992 件同定された.負の二項回帰によって評価したワクチン有効率は,intention-to-treat 解析では 4.4%(95%信頼区間 [CI] -17.0~21.9,P=0.66),per-protocol 解析では 7.0%(95% CI -14.5~24.6,P=0.52)であった.ワクチンの効果は経時的に減弱し(接種と時間の交互作用について P=0.006),マラリア原虫への曝露が平均よりも高い児では,5 年目に負の効果が認められた(intention-to-treat 解析:-43.5%,95% CI -100.3~-2.8 [P=0.03];per-protocol 解析:-56.8%,95% CI -118.7~-12.3 [P=0.008]).
RTS,S/AS01 ワクチンの 3 回接種は,接種後早期には臨床的マラリアに対する防御効果を示したが,マラリア原虫への曝露が平均よりも高い地域では後年にリバウンドがみられ,この結果は相殺された.(PATH マラリアワクチンイニシアチブほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00872963)