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June 30, 2016 Vol. 374 No. 26

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進行した全身性肥満細胞症に対するミドスタウリンの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Midostaurin in Advanced Systemic Mastocytosis

J. Gotlib and Others

背景

進行した全身性肥満細胞症は,予後不良に関連し,有効な治療選択肢のないまれな造血器腫瘍を伴う.マルチキナーゼ阻害薬のミドスタウリン(midostaurin)は,発症に関わる主要因子の一つである KIT D816V を阻害する.

方 法

患者 116 例にミドスタウリン 100 mg を 1 日 2 回経口投与する非盲検試験を行った.このうち,有効性の主要解析対象集団への組入れに適格であったのは,肥満細胞症に関連する臓器障害の認められる 89 例であった.病型の内訳は,侵襲性全身性肥満細胞症 16 例,関連する造血器腫瘍を伴う全身性肥満細胞症 57 例,肥満細胞白血病 16 例であった.主要評価項目は最良効果(全奏効率)とした.

結 果

全奏効率は 60%(95%信頼区間 [CI] 49~70)であり,患者の 45%が著効(major response)を示した.著効は,肥満細胞症に関連する臓器障害が少なくとも 1 種類完全消失することと定義した.奏効率は,進行した全身性肥満細胞症の病型,KIT 変異の有無,治療歴にかかわらず同程度であった.骨髄肥満細胞負荷と血清トリプターゼ値の最良変化率の中央値は,それぞれ -59%と -58%であった.全生存期間の中央値は 28.7 ヵ月であり,無増悪生存期間の中央値は 14.1 ヵ月であった.肥満細胞白血病患者 16 例は,全生存期間の中央値が 9.4 ヵ月(95% CI 7.5~推定不能)であった.毒性による投与量の減量は患者の 56%で行われ,そのうち 32%では再び開始用量まで増量しえた.とくに頻度の高かった有害事象は,低グレードの悪心,嘔吐,下痢であった.新規発症または増悪したグレード 3 または 4 の好中球減少,貧血,血小板減少はそれぞれ患者の 24%,41%,29%で認められ,その多くには血球減少の既往があった.

結 論

今回の非盲検試験で,ミドスタウリンは,致死率の高い病型である肥満細胞白血病を含む進行した全身性肥満細胞症患者に対して有効性を示した.(Novartis Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00782067)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2530 - 41. )