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January 28, 2016 Vol. 374 No. 4

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再発慢性リンパ性白血病に対するアカラブルチニブ(ACP-196)
Acalabrutinib (ACP-196) in Relapsed Chronic Lymphocytic Leukemia

J.C. Byrd and Others

背景

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療において,イブルチニブ(ibrutinib)によるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の不可逆的阻害は重要な進歩の一つである.しかし,イブルチニブは別のキナーゼ標的も不可逆的に阻害するため,治療係数が小さくなる可能性がある.アカラブルチニブ(acalabrutinib)(ACP-196)は,第一世代 BTK 阻害薬の安全性と有効性を改善することを主目的としてデザインされた,より選択性の高い不可逆的 BTK 阻害薬である.

方 法

非対照第 1・2 相多施設共同試験において,経口アカラブルチニブを再発 CLL 患者 61 例に投与し,アカラブルチニブの安全性,有効性,薬物動態,薬力学を評価した.用量漸増期(第 1 相)にはアカラブルチニブ 100~400 mg を 1 日 1 回,拡大期(第 2 相)には 100 mg を 1 日 2 回投与した.

結 果

患者の年齢の中央値は 62 歳で,CLL に対する前治療数の中央値は 3 であり,31%が染色体 17p13.1 欠失を有し,75%が未変異の免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子を有していた.用量漸増期に用量制限毒性は発現しなかった.頻度が高かった有害事象は,頭痛(患者の 43%),下痢(39%),体重増加(26%)であった.ほとんどの有害事象がグレード 1 または 2 であった.追跡期間中央値 14.3 ヵ月の時点での全奏効率は 95%であり,内訳は部分奏効 85%,リンパ球増多を伴う部分奏効 10%で,残りの 5%は病勢安定であった.染色体 17p13.1 欠失を有する患者での全奏効率は 100%であった.リヒター症候群(大細胞型リンパ腫に移行した CLL)を呈した例はなく,CLL の進行は 1 例にのみ認められた.

結 論

この試験では,染色体 17p13.1 欠失保有者を含む再発 CLL 患者において,選択的 BTK 阻害薬アカラブルチニブに,有望な安全性および有効性プロファイルが認められた.(Acerta Pharma 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02029443)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 323 - 32. )