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February 11, 2016 Vol. 374 No. 6

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HIV 関連クリプトコッカス髄膜炎におけるデキサメタゾンの補助的使用
Adjunctive Dexamethasone in HIV-Associated Cryptococcal Meningitis

J. Beardsley and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関連するクリプトコッカス髄膜炎によって,世界で年間 600,000 例を超える死亡者が出ている.治療法はこの 20 年間ほとんど変化しておらず,承認間近の新しい抗クリプトコッカス薬もない.一部の集団では,別の原因による髄膜炎の患者にグルココルチコイドを補助的に使用すると死亡率が低下することが示されているが,クリプトコッカス髄膜炎患者では検証されていない.

方 法

二重盲検無作為化プラセボ対照試験において,ベトナム,タイ,インドネシア,ラオス,ウガンダ,マラウイで HIV 関連クリプトコッカス髄膜炎の成人患者を募集した.対象全例に,抗真菌薬のアムホテリシン B とフルコナゾールの併用投与に加えて,デキサメタゾンまたはプラセボを 6 週間投与した.

結 果

試験は,451 例を登録後,安全性を理由に中止された.10 週までの死亡率はデキサメタゾン群 47%,プラセボ群 41%であり(デキサメタゾン群のハザード比 [HR] 1.11,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.47,P=0.45),6 ヵ月までの死亡率はそれぞれ 57%,49%(HR 1.18,95% CI 0.91~1.53,P=0.20)であった.10 週の時点で障害が認められた患者の割合はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも高く,事前に規定した良好な転帰を示した患者の割合はそれぞれ 13%,25%であった(オッズ比 0.42,95% CI 0.25~0.69,P<0.001).臨床的有害事象の頻度はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも高く(667 件 対 494 件,P=0.01),より頻度が高かった有害事象はグレード 3 または 4 の感染症(48 例 対 25 例,P=0.003),腎イベント(22 例 対 7 例,P=0.004),心イベント(8 例 対 0 例,P=0.004)であった.脳脊髄液中の菌クリアランス速度はデキサメタゾン群のほうが遅かった.アジア,アフリカの施設で結果は一致した.

結 論

デキサメタゾンによって HIV 関連クリプトコッカス髄膜炎患者の死亡率は低下せず,有害事象と障害の頻度もプラセボより高かった.(Joint Global Health Trials プログラムを通じて英国国際開発省ほかから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN59144167)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 542 - 54. )