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February 18, 2016 Vol. 374 No. 7

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高齢男性におけるテストステロン投与の効果
Effects of Testosterone Treatment in Older Men

P.J. Snyder and Others

背景

男性の血清テストステロン濃度は加齢に伴って低下するが,高齢男性のテストステロン値を上昇させることの有用性は確立されていない.

方 法

血清テストステロン濃度が 275 ng/dL 未満で,アンドロゲン低下を示唆する症状がみられる 65 歳以上の男性 790 例を,テストステロンゲル群と,プラセボゲル群のいずれかに無作為に割り付け,1 年間塗布した.参加者は,性機能試験,身体機能試験,活力試験の 3 試験のうち,1 つ以上に参加した.すべての参加者で各試験の主要転帰の評価も行った.

結 果

テストステロン投与により,血清テストステロン値は,19~40 歳男性の正常中間値まで上昇した.テストステロン値の上昇は,日常性心理質問票で評価した性的行為の有意な増加に関連し(P<0.001),また,性的欲求と勃起機能の有意な増加にも関連した.6 分間歩行距離が 50 m 以上延長した男性の割合は,身体機能試験の 2 群では有意差は認められなかったが,3 試験全体では 2 群で有意差が認められた(テストステロンを塗布した男性 20.5% 対 プラセボを塗布した男性 12.6%,P=0.003).テストステロンは,慢性疾患治療機能評価の疲労スケールで評価した場合に,活力には有意な有用性を示さなかったが,テストステロンを塗布した男性では,プラセボを塗布した男性と比較して,気分がわずかに改善したこと,抑うつ症状の重症度が低下したことが報告された.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

65 歳以上で症状がみられる男性において,中程度に低いテストステロン濃度を 1 年間で 19~40 歳男性の正常中間値まで上昇させることで,性機能には中等度の有用性が,また気分と抑うつ症状には若干の有用性が認められたが,活力と歩行距離に有用性は認められなかった.テストステロン投与のリスクに関する結論を出すには参加者数があまりにも少なかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00799617)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 611 - 24. )