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February 18, 2016 Vol. 374 No. 7

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鎌状赤血球血管閉塞性イベントに対するプラスグレルの多国間試験
A Multinational Trial of Prasugrel for Sickle Cell Vaso-Occlusive Events

M.M. Heeney and Others

背景

鎌状赤血球貧血症は有痛性の血管閉塞性クリーゼを特徴とする遺伝性血液疾患であり,これに対する治療選択肢は少ない.鎌状赤血球貧血症における血管閉塞時の細胞間接着と血栓形成には血小板が介在していることから,抗血小板薬が血栓閉塞性イベントの軽減に果たす役割が示唆される.

方 法

鎌状赤血球貧血症の 2~17 歳の小児・思春期児を,経口プラスグレル群とプラセボ群に無作為に割り付け,9~24 ヵ月間投与した.主要評価項目は血管閉塞性クリーゼの発症率とし,有痛性クリーゼと急性胸部症候群の複合とした.副次的評価項目は鎌状赤血球関連疼痛の発現率と疼痛強度とし,疼痛日誌を用いて毎日評価した.

結 果

南北アメリカ,欧州,アジア,アフリカの 13 ヵ国 51 施設において,341 例を無作為化した.1 人年あたりの血管閉塞性クリーゼイベントの発生率は,プラスグレル群 2.30,プラセボ群 2.77 であった(率比 0.83,95%信頼区間 0.66~1.05,P=0.12).副次的評価項目である,日誌で報告されたイベントには群間で有意差は認められなかった.安全性評価項目である,医学的介入を要する出血イベントの頻度,プラスグレルまたはプラセボを服用中に発現した出血性・非出血性有害事象の頻度,プラスグレルまたはプラセボに起因する中止の頻度などに,群間で有意差は認められなかった.

結 論

鎌状赤血球貧血症の小児・思春期児における血管閉塞性クリーゼの発症率は,プラスグレル投与例のほうがプラセボ投与例よりも有意に低いということはなかった.安全性所見に群間で有意差は認められなかった.(Daiichi Sankyo 社,Eli Lilly 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01794000)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 625 - 35. )