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February 18, 2016 Vol. 374 No. 7

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米国および欧州におけるエボラウイルス病の臨床管理
Clinical Management of Ebola Virus Disease in the United States and Europe

T.M. Uyeki and Others

背景

西アフリカ以外の地域におけるエボラウイルス病(EVD)患者の特性,その臨床管理,観察されている合併症に関して,入手可能なデータは限られている.

方 法

2014 年 8 月~2015 年 12 月に米国および欧州の病院で治療を受けたすべてのエボラウイルス感染確定例から入手しえた臨床データ,検査データ,ウイルス学的データを再検討した.

結 果

治療を受けた EVD 患者は 27 例(年齢中央値 36 歳 [範囲 25~75])であった.19 例(70%)は男性で,26 例中 9 例(35%)には併存疾患があり,22 例(81%)は医療従事者であった.27 例のうち,24 例(89%)は,西アフリカから治療のために送還されたか,西アフリカでエボラウイルスに曝露・感染し,欧州または米国で発症して検査で感染が確定しており,3 例(11%)は米国または欧州で感染した.発症時によくみられた徴候・症状は疲労(20 例 [80%])と,発熱または体熱感(17 例 [68%])であった.臨床経過において,主な所見は,下痢,低アルブミン血症,低ナトリウム血症,低カリウム血症,低カルシウム血症,低マグネシウム血症などであった.14 例(52%)に低酸素血症,9 例(33%)に乏尿が認められ,うち 5 例は無尿であった.アミノトランスフェラーゼ値は発症後中央値 9 日でピークに達した.ほぼ全例で補液と電解質補給が行われた.9 例(33%)に非侵襲的または侵襲的人工換気,5 例(19%)に持続的腎代替療法,22 例(81%)に経験的抗菌薬治療が行われ,23 例(85%)に実験的治療が行われた(19 例 [70%]で 2 種類以上の実験的介入が行われた).血中のエボラウイルスの RNA 量は発症後中央値 7 日でピークに達し,症状発現からウイルス陰性化までの期間の中央値は 17.5 日であった.死亡例は呼吸不全と腎不全をきたした 3 例を含む計 5 例で,死亡率は 18.5%であった.

結 論

米国または欧州で治療を受けた EVD 患者では,緊密なモニタリングと,補液,電解質異常の補正,栄養補給,呼吸不全・腎不全に対する救命救急治療などの集中的な対症療法が必要とされた.このような治療を受けた患者の 81.5%が生存した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 636 - 46. )