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February 18, 2016 Vol. 374 No. 7

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帝王切開分娩時の皮膚消毒薬の無作為化比較試験
A Randomized Trial Comparing Skin Antiseptic Agents at Cesarean Delivery

M.G. Tuuli and Others

背景

術前皮膚消毒によって手術部位感染(SSI)リスクは低下する可能性がある.しかし,米国の女性が受ける主要な手術でもっとも頻度の高い帝王切開分娩時に用いる消毒薬を選択する指針となるエビデンスは限られている.

方 法

単一施設無作為化比較試験において,術前皮膚消毒にはクロルヘキシジン+アルコールのほうが,ヨード+アルコールよりも帝王切開分娩後の SSI 予防に優れているかどうかを評価した.帝王切開分娩を行う予定の患者を,クロルヘキシジン+アルコールで皮膚消毒を行う群とヨード+アルコールで皮膚消毒を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は帝王切開分娩後 30 日以内の表層または深層 SSI とし,米国疾病管理予防センター(CDC)による定義に基づいて判定した.

結 果

2011 年 9 月~2015 年 6 月に 1,147 例を登録し,572 例をクロルヘキシジン+アルコール群,575 例をヨード+アルコール群に割り付けた.intention-to-treat 解析では,SSI が診断されたのはクロルヘキシジン+アルコール群 23 例(4.0%),ヨード+アルコール群 42 例(7.3%)であった(相対リスク 0.55,95%信頼区間 0.34~0.90,P=0.02).表層 SSI の発生率はクロルヘキシジン+アルコール群 3.0%,ヨード+アルコール群 4.9%であり(P=0.10),深層 SSI の発生率はそれぞれ 1.0%,2.4%であった(P=0.07).有害皮膚反応の頻度は同程度であった.

結 論

術前皮膚消毒にクロルヘキシジン+アルコールを用いた場合,ヨード+アルコールを用いた場合と比較して,帝王切開分娩後の SSI リスクが有意に低下した.(米国国立衛生研究所,ワシントン大学医学部 [セントルイス] から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01472549)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 647 - 55. )