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July 14, 2016 Vol. 375 No. 2

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心室頻拍に対するアブレーションと抗不整脈薬増強との比較
Ventricular Tachycardia Ablation versus Escalation of Antiarrhythmic Drugs

J.L. Sapp and Others

背景

心筋梗塞後に植込み型除細動器(ICD)を植え込んだ患者は,抗不整脈薬療法を行っても,反復性心室頻拍の頻度が高い.この問題を管理するもっとも有効な方法は明らかにされていない.

方 法

虚血性心筋症で ICD を植え込み,抗不整脈薬を服用しているにもかかわらず心室頻拍を認める患者を対象に,無作為化比較試験を行った.対象を,カテーテルアブレーションを行い,ベースラインの抗不整脈薬投与を継続する群(アブレーション群)と,抗不整脈薬の種類や投与量を増やす群(増強療法群)に無作為に割り付けた.増強療法群では,アミオダロン以外の薬剤がすでに投与されている例では,アミオダロンを開始した.アミオダロンが投与されている例では,投与量が 300 mg/日未満の場合は増量し,すでに 300 mg/日以上の場合はメキシレチンを追加した.主要転帰は,死亡,24 時間以内に記録された 3 回以上の心室頻拍発作(心室頻拍ストーム),適切な ICD ショックの複合とした.

結 果

259 例を登録し,132 例をアブレーション群に,127 例を増強療法群に割り付けた.平均(±SD)追跡期間 27.9±17.1 ヵ月のあいだに,主要転帰は,アブレーション群の 59.1%,増強療法群の 68.5%に発生した(アブレーション群のハザード比 0.72,95%信頼区間 0.53~0.98,P=0.04).死亡率に群間で有意差は認められなかった.アブレーション群では心穿孔が 2 例,重大な出血が 3 例,増強療法群では肺毒性による死亡が 2 例,肝機能障害による死亡が 1 例認められた.

結 論

虚血性心筋症で ICD を植え込み,抗不整脈薬療法を行っても心室頻拍を認める患者では,カテーテルアブレーションを行うほうが,抗不整脈薬療法を増強するより,主要転帰とした死亡,心室頻拍ストーム,適切な ICD ショックの複合発生率が有意に低かった.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.VANISH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00905853)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 111 - 21. )