September 29, 2016 Vol. 375 No. 13
臨床診療における COPD に対するフルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロールの有効性
Effectiveness of Fluticasone Furoate–Vilanterol for COPD in Clinical Practice
J. Vestbo and Others
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理に関するエビデンスは,限定的な組入れ基準で選択された患者集団を注意深く観察した効能試験(efficacy trial)から得られたものである.通常の診療により近い条件で無作為化試験を行う必要がある.
一般診療所 75 ヵ所で行われた有効性比較試験において,COPD 患者 2,799 例を,フルチカゾンフランカルボン酸エステル(100μg)とビランテロール(25μg)を 1 日 1 回吸入投与する群(フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール群)と,通常の維持療法を行う群(通常治療群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,試験前 1 年間に増悪を起こしていた患者における,中等度または重度の増悪の発生率とした.副次的評価項目は,試験前 3 年間に増悪を起こしていた患者におけるプライマリケア受診(一般医 [GP],看護師,その他の医療従事者との接触)および二次医療受診(入院,外来での専門医受診,救急受診)の発生率,最初の試験治療の変更,増悪発生率とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.
中等度または重度の増悪の発生率は,フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール群のほうが通常治療群よりも有意に低く,差は 8.4%(95%信頼区間 1.1~15.2)であった(P=0.02).COPD 関連でのプライマリケア受診または二次医療受診の年間発生率に有意差は認められなかった.生存時間解析では,中等度または重度の初回増悪の発生率,重度の初回増悪の発生率に群間で有意差は認められなかった.フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール群に,重篤な有害事象である肺炎の増加は認められなかった.その他の重篤な有害事象の発生数は,両群で同程度であった.
増悪歴のある COPD 患者に対するフルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロールの 1 日 1 回投与は,通常治療よりも増悪の発生率が低く,重篤な有害事象のリスク上昇は認められなかった.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.Salford Lung Study:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01551758)