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July 14, 2016 Vol. 375 No. 2

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化学療法誘発性悪心・嘔吐の予防のためのオランザピン
Olanzapine for the Prevention of Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting

R.M. Navari and Others

背景

高度催吐性化学療法を受ける患者の悪心・嘔吐の予防におけるオランザピンの有効性を検討した.

方 法

第 3 相無作為化二重盲検試験で,化学療法歴がなく,シスプラチン(≧70 mg/m2 体表面積)またはシクロホスファミド+ドキソルビシンの投与が予定されている患者を対象に,制吐薬のデキサメタゾン,アプレピタントまたはホスアプレピタント,5-ヒドロキシトリプタミン 3 受容体拮抗薬に,オランザピンを併用するレジメンをプラセボを併用するレジメンと比較した.化学療法の前後に投与する 3 種類の併用制吐薬の用量は両群で同程度とした.経口オランザピン 10 mg またはマッチさせたプラセボを,1 日目から 4 日目まで連日投与した.悪心の予防を主要エンドポイントとし,完全寛解(嘔吐がなく,救済薬の使用もなし)を副次的エンドポイントとした.

結 果

評価しえた 380 例(オランザピン群 192 例,プラセボ群 188 例)を解析対象とした.化学療法による悪心が認められなかった患者の割合は,オランザピン群のほうがプラセボ群と比較して,化学療法後 24 時間(74% 対 45%,P=0.002),化学療法後 25~120 時間(42% 対 25%,P=0.002),120 時間全体(37% 対 22%,P=0.002)について有意に大きかった.完全寛解率も,3 期間すべてでオランザピン群のほうが有意に高かった(それぞれ 86% 対 65% [P<0.001],67% 対 52% [P=0.007],64% 対 41% [P<0.001]).グレード 5 の毒性は認められなかったが,オランザピン投与例の一部で,2 日目に望まない鎮静(5%は重症)が増加した.

結 論

化学療法による治療歴がない患者に高度催吐性化学療法を行う際にオランザピンを併用することで,プラセボと比較して,悪心の予防と完全寛解率が有意に改善した.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02116530)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 134 - 42. )