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October 20, 2016 Vol. 375 No. 16

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失神で入院した患者の肺塞栓症の有病率
Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope

P. Prandoni and Others

背景

失神で入院した患者の肺塞栓症の有病率は十分に記録されておらず,現行のガイドラインでは,このような患者で肺塞栓症の診断を確定するための精査について,ほとんど注意が払われていない.

方 法

イタリアの 11 病院に失神の初回エピソードで入院した患者を対象に,失神の別の説明要因の有無にかかわらず,肺塞栓症の系統的な精査を行った.Wells スコアに基づく検査前確率が低く,D ダイマー検査が陰性の患者では,肺塞栓症を除外した.残りの患者全例に CT 肺血管造影または肺換気血流スキャンを行った.

結 果

560 例(平均年齢 76 歳)を対象とした.肺塞栓症の検査前確率が低いことと,D ダイマー検査が陰性であることに基づいて,560 例中 330 例(58.9%)で肺塞栓症が除外された.残りの 230 例中 97 例(42.2%)で肺塞栓症が同定された.コホート全体における肺塞栓症の有病率は 17.3%(95%信頼区間 14.2~20.5)であった.主肺動脈または葉動脈の塞栓像,あるいは両肺の総面積の 25%を超える血流欠損像が認められた患者は 61 例であった.肺塞栓症は,失神の別の説明要因を有していた 355 例のうち 45 例(12.7%)と,有していなかった 205 例のうち 52 例(25.4%)で同定された.

結 論

失神の初回エピソードで入院した患者のほぼ 6 例に 1 例の割合で肺塞栓症が同定された.(パドヴァ大学から研究助成を受けた.PESIT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01797289)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1524 - 31. )