The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 27, 2016 Vol. 375 No. 17

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

敗血症における急性臓器不全予防のためのレボシメンダン
Levosimendan for the Prevention of Acute Organ Dysfunction in Sepsis

A.C. Gordon and Others

背景

レボシメンダン(levosimendan)は,敗血症患者の転帰を改善する可能性のある,変性作用・その他の作用を有するカルシウム感作薬である.

方 法

敗血症の成人患者において,レボシメンダンが臓器不全の重症度を低下させるかどうかを検討する目的で二重盲検無作為化臨床試験を行った.患者を,標準治療に加えて,盲検下で 24 時間レボシメンダン(0.05~0.2μg/kg 体重/分)を注入する群とプラセボを注入する群とに無作為に割り付けた.主要評価項目は,集中治療室在室中に最長 28 日目まで毎日測定した臓器不全評価(SOFA)スコア(5 臓器の各スコアの範囲は 0~4 で,スコアが高いほど機能障害が重度であることを示す.最高スコアは 20)の平均とした.副次的評価項目は,28 日死亡率,人工呼吸器離脱までの時間,有害事象などとした.

結 果

516 例を登録し,259 例をレボシメンダン群に,257 例をプラセボ群に割り付けた.SOFA スコアの平均(±SD)には,レボシメンダン群とプラセボ群とで有意差は認められなかった(6.68±3.96 対 6.06±3.89,差の平均 0.61,95%信頼区間 [CI] -0.07~1.29,P=0.053).28 日死亡率は,レボシメンダン群 34.5%,プラセボ群 30.9%であった(絶対差 3.6 パーセントポイント,95% CI -4.5~11.7,P=0.43).ベースラインで人工呼吸器を必要としていた患者のうち,28 日間に人工呼吸器からの離脱に成功した割合は,レボシメンダン群の患者のほうがプラセボ群の患者よりも低かった(ハザード比 0.77,95% CI 0.60~0.97,P=0.03).上室性頻脈性不整脈を呈した患者は,レボシメンダン群のほうがプラセボ群よりも多かった(3.1% 対 0.4%,絶対差 2.7 パーセントポイント,95% CI 0.1~5.3,P=0.04).

結 論

敗血症の成人患者に対する標準治療へのレボシメンダンの追加は,臓器不全の重症度低下にも,死亡率低下にも関連しなかった.レボシメンダンは,人工呼吸器からの離脱に成功する可能性が低いこと,上室性頻脈性不整脈のリスクが高いことに関連した.(英国国立衛生研究所の有効性・作用機序評価プログラムほかから研究助成を受けた.LeoPARDS 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN12776039)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1638 - 48. )